NEDO Web Magazine

特集

材料開発の革新に位一体で

プロジェクト

先端材料高速開発基盤技術プロジェクト

NEDOは、日本の材料分野全体の競争力向上を目指して
計算科学、製造プロセス技術、先端計測技術の連携による
材料開発の共通基盤技術の確立を進めてきました。

従来のカンと経験に頼る開発手法から
データ駆動型の研究開発へ

日本の材料分野は、機能性材料などにおいて高い国際シェアを持ち、今後も産業を牽引していくことが期待されています。一方で、材料へのニーズが多様化・複雑化し、国際的な開発競争が激化している中、従来の「カン」と「経験」に頼り実験と試行を繰り返す手法では、新たに有力な材料を開発することが難しくなっていました。

近年、材料分野は、コンピューターの急速な進歩によって、シミュレーションやインフォマティクスを用いた研究開発が国内外で盛んに行われ、特にマテリアルズインフォマティクス(MI)は、萌芽的な研究でありながら、従来の研究開発手法に依らない新しい手法として注目されています。日本においても、計算科学やデータ駆動型研究開発などによる、材料開発の効率化・加速化、またそれらに関する人材の育成などの取り組みが急務になっていました。

こうした背景の下NEDOでは、「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(略称:超超プロジェクト)」を立ち上げ、有機系機能性材料を高速で開発するための、高度な計算科学を基にした材料開発基盤技術の確立を目指して2016年度からプロジェクトを実施してきました。

ポイントは、計算科学だけでなく、実際に多様なサンプルを自在・高速に試作するプロセス技術と、さらにこれまで観測できなかったものや、材料特性が発現しているその場を見る計測技術の3つのチームを連携させた三位一体の体制を組むことにありました。

この体制から生み出された良質なデータを人工知能(AI)に学習させ、必要な機能・性能から合成する材料を予測する、いわゆる逆問題解決による材料開発を実現し、試作回数・開発期間を従来の材料開発の20分の1に短縮することを目標におきました。

労力やコスト、失敗のリスクを恐れず
アイデアを試すことができる環境づくり

具体的には、有機系機能性材料を対象にして、シミュレーションや試作、評価からデータ群をつくり出し、MIと融合することで、革新的な材料設計スキームの開発や、材料開発の加速化を図りました。

これまで、研究者が新しいアイデアを思いついても、実現にかかる労力やコスト、失敗のリスクが障壁になり、開発を躊躇するケースがなかったとは言えません。しかし、MIを活用し、すぐに結果が分かるようになれば、アイデアを試すハードルは大幅に下がります。

本プロジェクトがスタートした当時は、材料開発にAIが活用されている事例は稀でしたが、その後数多くの研究により有効性が実証され、AIは今や革新的材料の開発に必要不可欠なツールとなっています。次ページからは、この超超プロジェクトに携わった国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)副理事長 研究開発責任者の村山宣光プロジェクトリーダーとNEDO材料・ナノテクノロジー部三宅 政美プロジェクトマネージャー(当時)の対談をはじめ、プロジェクトの成果を紹介します。

ハイスループットシステムとデータ科学を活用した電場応答型高分子アクチュエータ材料の開発高活性ブタジエン合成触媒の開発
電場応答型高分子アクチュエータ材料の開発
CO2を利用する有用化学品合成技術の研究開発
研究開発に導入する手法
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