Focus NEDO

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

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【87】フロンティア研究支援拡充(2026年8月19日紙面掲載分)

6領域で採択

NEDOフロンティア育成事業が2年目を迎え、現在6領域で採択・支援が進められている。この事業で取り上げるのは「次の次」の技術だ。将来的なポテンシャルが大きい一方で、技術開発や市場の不確実性といったリスクの高さ、巨額の研究開発設備投資の必要性などの理由で、国としては重点投資していきたいにもかかわらず、個社だけでは投資が進みにくい領域を発掘し育成する。

フロンティアという名の通り、研究が初期段階にあるリスクが高い領域にチャレンジする。例えば6領域のうちの一つ、地下未利用資源の活用/天然水素は取り組みを始めた2025年度、日本では天然水素という言葉すら一般的ではなく、社会実装までの道筋も存在していなかった。しかし、安価な国産エネルギーという大きな経済・社会インパクトに期待し、地質、水素発生プロセスの専門家や下流側事業者など多くの仲間を集めることから始めた結果、大きなうねりが生まれ、開発は次のステージへと進んでいる。

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NEDOが取り組んでいるフロンティア領域

米方式を参考に

同様にハイリスク・ハイインパクトな研究開発支援で成果を上げている米国エネルギー高等研究計画局(ARPA-E)の活動から示唆を得た。高い目標を掲げて難しい課題に取り組み、失敗も許容しつつ一部のプロジェクトを成功に導くことで、支援額の3.9倍もの資金を民間から引き出している。フロンティア領域事業では、ARPA-Eを参考に、プログラム・ディレクターが主導する支援体制、比較的長い期間を設けて意見招請から採択までじっくり行うプロセスなどを採用した。

柔軟な開発戦略

ハイリスクを取る一方、確実な成果も求められるため、アジャイルな開発支援を意識している。従来、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では特定した研究開発を着実に推進するリニアな開発手法が取られてきた。フロンティアのように不確実性が高い開発では、当初の戦略にこだわり、一つの研究開発テーマに賭けることは危険である。領域を俯瞰(ふかん)した複数のシナリオを持ち、状況に応じて柔軟かつ迅速にピボットする開発戦略が有効だ。このような複数のシナリオを追う取り組みは投資枠が制約がある民間では難しく、まさに国の役割だ。

また、ARPA-Eでは、Technology to Market(T2M)と呼ばれる、研究開発後の事業化も見据えた支援も行っている。NEDOでもこうした支援の拡充を検討しているところだ。

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NEDO
イノベーション戦略センター(TSC)
統合戦略ユニット ユニット長
澤田 篤志(さわだ あつし)
商社入社後、火力・再生エネ発電や系統安定化事業などの開発・建設・買収など長年電力事業に携わり、2020年からはアジア大洋州における新規事業投資開発を所掌。NEDOでは統合戦略ユニット長としてフロンティア育成事業の制度設計とその実行支援を担当。

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