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ベースメタルリサイクル ―鉄・アルミニウム・銅の循環を「量×質」で高める資源戦略―

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ベースメタルの世界全体の年間生産量は、鉄が約19億トン、アルミニウムが約1.1億トン、銅が約0.3億トンにのぼります。鉄の需要は2050年に向けても堅調に推移すると見込まれており、アルミニウムと銅はいずれもGX(グリーントランスフォーメーション)を支える重要素材として、今後さらなる需要増加が予測されています。

もし、都市に蓄積された鉄・アルミニウム・銅といったベースメタルが、鉱山に匹敵する安定的な供給源になったとしたら――。

その実現の鍵を握るのが、「ベースメタルリサイクル」です。 日本におけるリサイクルは、これまで最終処分場のひっ迫への対応や資源の有効活用を主な目的として進められてきました。しかし、鉄・アルミニウム・銅といったベースメタルは、製造時のCO₂排出量が大きい素材であることから、地球温暖化対策としてもリサイクルが進められています。また、近年は「資源の安定確保」という点でも改めて注目を集めています。

国際エネルギー機関(IEA)の試算では、今後、スクラップ投入比率や再生材の市場シェアが大きく拡大するとされています。その一方で、これまで十分に活用されてこなかった、不純物を多く含む「低品位なスクラップ」の割合が高まることも示唆されています。単に回収量を増やすだけでは不十分であり、「質の低いスクラップをいかに活用するか」が、リサイクルの新たなボトルネックになりつつあります。

比較的きれいな鉄・アルミニウム・銅の廃材をそのまま溶解して再利用するリサイクルは、すでに一定程度確立されています。一方で、日本では高品質な材料を前提とした製造業が発達してきたため、不純物を多く含む低品位なスクラップは、品質要求を満たせないことから国内での利用が難しく、海外へ流出したり、最終的には埋立処分されたりするケースが少なくありません。

今後、廃材と再生材の利用範囲を大幅に拡大していくためには、スクラップを品位ごとにきめ細かく利活用し、アップグレーディングを図る技術が不可欠です。すなわち、「質の低い廃棄物を、いかに使える資源へと引き上げるか」が、ベースメタルリサイクルの核心的な課題となります。

低品位なスクラップをリサイクルするためには、解体・破砕・選別といった前処理工程に加え、溶解・精錬などの再生工程、さらには加工工程まで含む、複雑なプロセスが必要となります。しかし現状の技術では、こうした各工程を経ても、必ずしも高品質な再生材を経済的に得られるとは限りません。

この課題を解決するための革新的技術として、選別工程では画像データを活用したAIによる高精度選別、再生工程では不純物元素除去技術の高度化、加工工程では不純物の無害化による物性低下を抑制する技術などに期待が寄せられています。さらに、廃棄後の解体や選別を容易にする「易解体設計」といった製品設計段階からの取り組みも、リサイクルの効率化に大きく寄与します。

前述のとおり、日本は高品質な材料を前提とした高度な製造技術を有している点に特徴があります。見方を変えれば、低品位なスクラップを高品質な材料へと引き上げる技術を確立できれば、それ自体が国際競争力となり得ます。

こうした「質」に着目した技術や社会システムは、まだ十分に成熟しておらず、民間企業が単独で取り組むにはハードルが高い分野です。NEDOは、ベースメタルリサイクルを「量×質」へと進化させる取り組みを進めています。再生材の需要側での受入条件の検討や、再生材の価値を適切に評価する仕組みの整備、経済合理性のみに依らない政策的措置も含め、産官学が連携した持続可能なリサイクルモデルの確立を目指しています。

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