NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

【55】懸賞金で研究開発支援(2025年12月24日紙面掲載分)
「解決法」を募集
研究開発によるイノベーションを効率的・効果的に創出するためには、従来の「委託」や「補助」に代わる新たな研究開発の支援方法も用意する必要がある。従来の委託や補助では研究開発に先立って公募し、応募された提案書の研究開発計画を審査した上で採択し、必要額を個々の案件ごとに概算して委託契約を締結したり、補助金を交付したりする。研究開発が終了したら領収書などで実際に要した費用を確定する。
このような工程では、既に着手されている研究開発は対象とならない、提案書を作成しないといけない、支援策の決定までに時間がかかる、研究者個人や小規模の研究機関にとって経費管理が重い、研究開発の内容や実施者が限定されるといった課題がある。そこで新たな支援策として注目されるのが「懸賞金」である。特定の技術課題について解決法を募集し、秀でた提案をした者に対しあらかじめ提示した金額を、実際に要した費用の額に関わらず交付する。

NEDO懸賞金活用型プログラムの業務プロセス
コンテスト形式
懸賞金が技術課題に対する先進的な解決法の提案を促す場合もあると考え、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2023年度から「NEDO懸賞金活用型プログラム“NEDO Challenge”」を実施している。同プログラムでは、研究開発の課題とその目標を掲げた懸賞広告で多数の提案を募る。課題は外部有識者からなる委員会で設定する。応募者による研究開発成果をコンテスト形式で競わせ、目標水準以上の成果を上げた者のうち上位数者に対して定額の懸賞金を交付する。研究計画を事前に提示したり、要した費用を領収書などで報告する必要はない。
異業種も応募
2023年度は衛星、蓄電池、AI(人工知能)の3分野で課題を設定し、約200の応募があり、29件に懸賞金を交付した。関連分野の企業や大学に加え異業種のベンチャーや学生など個人からの応募もあった。コンテストや表彰式には300人以上が参加し、関心の高さをうかがわせた。2024年度は量子などの分野で3課題、2025年度においてもAIなどの分野で9課題を設定した。現在、コンテストを準備中である。
今後、支援策として懸賞金がふさわしい場合の見極めや課題設定の方法、応募者のモチベーションを引き出す懸賞金額の設定など、経験や知見をさらに積む必要がある。
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NEDO
フロンティア部
先導研究ユニット(フロンティア・懸賞金チーム、新技術・未踏チャレンジチーム、国際共同研究開発チーム) ユニット長
矢部 貴大(やべ たかひろ)
2002年NEDO入構。これまで、ロボットや航空・宇宙、燃料電池・水素、再生可能エネルギー、カーボンリサイクルなどの分野の研究開発マネジメントに従事。国際関係ではバンコク事務所において東南アジアにおける技術実証事業などを担当するとともに、本部で国際共同研究開発事業を担当。2024年7月から現職、先導研究全般や懸賞金活用型プログラムを担当。