NEDO Web Magazine

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

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【1】自然共生経済 知力で実現(2024年12月4日紙面掲載分)

技術で現状打開

気候変動問題の深刻化や世界情勢の急激な変化など日本を取り巻く環境は予想を上回る速度で動いており、イノベーションによる早急な現状打開が求められているのではないだろうか。私がセンター長を務めるNEDOイノベーション戦略センター(TSC)は、2014年にエネルギー・環境・産業技術分野の技術戦略を策定するシンクタンクとしてNEDOに設立された。

この10年間、技術戦略の提言、将来像の提示、調査レポートの発信など、時勢に合わせてさまざまな形式をとりながらも、一貫 して技術インテリジェンスを提供してきた。
月に公表した「NEDO総合指針2023」では「サーキュラーエコノミー(循環経済)」「バイオエコノミー」「持続可能なエネルギー」の三つの社会システムを一体的に推進することに加え、それを支える基盤としての「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が不可欠であると提言した。

エコシステム

24年7月には、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ(自然再生)を等しく実現するための将来像として、「自然共生経済」を提案し、本コンセプトの実現に向けたアクションや方策をまとめた。

持続可能で豊かな社会の実現に向けては、イノベーションの創出が期待される技術の萌芽(ほうが)を捉え、多種多様なステークホルダーとの共創によって、早い段階からエコシステムを見据え、育てることで、早期に新たな市場や価値の創出をもたらすことが可能となるのではないだろうか。

このような新しい取り組みを促進するため、24年7月のNEDO全体の組織編成を機に、TSCは「技術戦略研究センター」から、「イノベーション戦略センター」へと名称を変え、組織のミッションも新たに、「未来を捉え、描き、共に創る」と定義して一歩を踏み出した。

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情報発信を強化

TSCは、プロジェクトの企画立案に加え、民間企業・大学・研究機関のみならず、商社やファンド・金融機関、報道機関の皆 さまに向けての情報発信を強化し、相互の対話を拡大していくことを考えている。社会づくりを活性化する触媒としての存在となるべく、国内外の技術・市場・政策などの動向を調査・分析し、TSCならではの付加価値を加えた技術インテリジェンスの提供を続けていく所存である。

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国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
イノベーション戦略センター(TSC)センター長
岸本 喜久雄

1982年東京工業大学博士号取得。工学博士。95年同大学教授。副学長、工学部長、環境・社会理工学院長、名誉教授などを経て、20年NEDO技術戦略研究センターセンター長。24年7月から現職。

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