NEDO Web Magazine

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

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【24】インドと協業促進 財政支援の活用提案(2025年5月21日紙面掲載分)

日本の技術強み

ニューデリー事務所は、インドと中東で、日本の技術の海外展開や海外の研究機関との共同研究開発を支援している。

インドは、再生可能エネルギー、バイオ燃料、蓄電池、半導体、グリーン水素など、エネルギー安全保障や経済安全保障の観点から重要な産業の育成に力を入れている。AI(人工知能)、量子、バイオテクノロジー、宇宙といった先端技術の研究開発にも熱心だ。

インドは、将来的には国産技術でまかないたい、との考えであるが、国産技術化には時間を要する。ここに日本が参入する余地がある。

インドでは、日本は技術の国というイメージが強く、日本との協業に積極的である。日系メーカーの自動車やバイク、経済協力によるインフラ整備など、先輩方が積み上げてきた実績が背景にあるのだと思う。

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ニューデリー事務所員の家族の結婚式にて(右から3人目が筆者)

すり合わせ重要

当事務所では、日本企業の技術展開への支援(足元では、バイオ燃料、Waste to Energy、グリーン水素の案件が多め)がメインだが、インド企業から、日本の企業とパートナーを組みたい、日本の技術を導入したい、といった相談を受けることも多い。

日印双方に協業ニーズはあるとしても、実際の技術の導入までは道のりがある。インドで求められる技術は何か(技術のローカライズ)、技術導入のコストはいくらか、技術はインドでの実績があるのかなど、日印企業間でのすり合わせが必要となる。こうしたすり合わせが円滑に進むよう、日本企業に事業可能性調査や技術実証についての財政支援の活用提案を行っている。財政支援の採択は、ゴールではなく、スタートと考えており、財政支援以外で、どのような伴走支援ができるかを追求している。

理系人材が魅力

インド企業と組み、ビジネスが立ち上がれば、大規模な量産化による競争的なコストでの展開、インド市場に加え、距離的に近い中東や市場感覚が近いアフリカへの展開も期待できる。ただし、インドは、技術導入について、日本だけを頼りにしているわけではない。例えば、グリーン水素の製造に必要な電解槽について、インド企業が、米国や欧州の企業から技術供与を受ける、との報道もある。

インドの理工系人材の豊富さも大きな魅力である。米国や欧州の企業は、例えば、インド工科大学と共同で研究開発を行っており、日本企業でも同様の事例が増えている。当事務所としても、インドの研究機関とのネットワーキングを進め、日本企業の連携先開拓ニーズに応えていきたい。

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ニューデリー事務所/NEDO New Delhi Office

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国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
ニューデリー事務所 所長
仙田 正文(せんだ まさふみ)

2003年4月経済産業省入省。2024年7月NEDOニューデリー事務所長に出向。希望がかない、インドに赴任して10カ月が経過。当地に駐在されている方々や出張でお越しになられる方々からインスピレーションを受けつつ、やりがいのある仕事に囲まれて、日々、考え、悩みながら、新たなトライを続けている。

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