
NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

【20】世界最高のイノベーション 日本に好循環(2025年4月23日紙面掲載分)
世界中が注目
スタートアップの聖地ともいわれる米国シリコンバレー(SV)。そのエコシステムは世界中から常に注目されているが、大学、企業、公的機関、投資家、アクセラレーターといったサポートシステムなど、いくつかのコンポーネントから構成されており、それらが有機的に結びつき機能的に回転することで世界最高のイノベーションを生み出している。そのシステムは、世界中から優秀な人材を惹(ひ)きつけ、成長させ、高い流動性をもって高度な人材を輩出し続けている。
そのようなエコシステムに日本から飛び込んでいくことは容易ではないが、日本の公的機関として関係者のテックハブになるべく、NEDOのSV事務所では、主に技術の視点からいろいろな機会を提供している。
機会の提供
一つ目はForesight Seminarの開催だ。エネルギー分野を中心に、注目される技術分野を取り上げ、ローカルのスタートアップやアカデミアなどの講演により最新の技術トレンドを学ぶ対面形式のセミナーを主催。過去16回開催し、ローカルとのネットワーク構築にも貢献している。
二つ目はCHIZAI Seminar。米国での知財関連の最新トピックを紹介する、知財関係者を中心としたセミナーを主催しており、過去8年半で60回を超える。オンライン開催の会(特許庁イベントカレンダーに掲載)では、日本からの参加も可能だ。
三つ目はSilicon Valley Immersion Program。2015年からSVのエコシステムを活用したスタートアップ向け研修プログラムを年1回程度実施。現地アクセラレーターによる日本研修(1週間)/オンラインでのフォロー研修/現地研修(1週間。ピッチセッション含む)の約1カ月間のプログラム(参加無料、渡航費一部支給)。2025年度も初夏ごろに参加企業を募集し、晩夏ごろに実施予定だ。
また、経済産業省がSVに設置したスタートアップビジネス拠点「Japan Innovation Campus(JIC)」にも職員を定期的に派遣。相談などに応じる体制を整えている。

シリコンバレー事務所のメンバーと(右から3人目が筆者)
日本に届ける
当地で活動していると、社会・世界全体を変えたいという大きなビジョンとそれを実際に声に出し行動に移す積極的な行動力、それは実現するよと思わせる環境、を強く感じる。そういったものを日本にいる方にも少しでも感じてもらい、日本にも好循環をもたらせるよう海の向こうで貢献していきたい。SVに来られる際は、ぜひご連絡をいただき気軽にお立ち寄りいただきたい。
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国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
シリコンバレー事務所 所長
森本 将史(もりもと まさし)
2002年京大院(人間・環境学)修士課程修了、同年経済産業省入省。経産省ではエネルギー政策やイノベーション・研究開発政策に従事。22年から現職。SVでは、日系スタートアップの支援に加えて、エネルギー関係のNEDO事業のマネジメントや最新技術トレンドの調査・発信などを行っている。