NEDO Web Magazine

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

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【10】新産業創出へ各分野を俯瞰 革新技術掘り起し(2025年2月12日紙面掲載分)

裾野の広さ強み

NEDOに参加して半年がたった。文系の筆者が一番驚いていることは「どのようなニッチなテーマでもほぼ誰かが研究している!」ということだ。日本の研究の裾野は広い。こうした裾野の広さを活用しポテンシャルがある技術を掘り起こし他分野技術と組み合わせることで新たな価値が生みだせないか考えたい。技術の市場性・流動性向上が重要だ。

統合戦略ユニットでは技術開発への支援だけではなく、マッチング企画などスタートアップを含む多様な技術・アイディアとニーズを組み合わせることで新たな価値創造・社会実装を目指したい。

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図 NEDOプロジェクト発の実用化事例

道筋示す戦略

現在NEDOでは日本の技術が社会実装・新産業創出につながる道筋を考えようと各技術分野を俯瞰する「Innovation Outlook(IO)」と、技術開発から社会実装までの道筋を示す「イノベーション戦略」の作成を予定している。

1月29日付の本欄で紹介した地下未利用資源の活用(天然水素)のように社会インパクトが期待されるが実現確度が読切れないことから民間での取上げが難しい研究課題もIOでは積極的に選定したい。天然水素のほか、極限マテリアルなども既に「フロンティア育成事業」として取組みがスタートした。同27日に公募公示が始まっているので関心があればNEDOのホームページをご覧いただきたい。今後NEDOでは多くのシーズを播き、社会実装まで育てていきたい。

NEDOに参加する直前までインドの新規ビジネスを追いかけていた。先進国の二番煎じの技術開発が多いが地場市場に合ったものを工夫し商品化している。稼ごうと必死だ。この稼ぎに貪欲な姿勢と失敗にへこたれないトライ&エラーによりインドの技術産業基盤は強くなり国力が増していくように思う。統合戦略ユニットもTech to Marketの意識を持って日本の技術者と伴走し、深く市場を学び、商品化をイメージし、貪欲に稼ぐことを考えていきたい。

仕組み・運用カギ

米国はスタートアップなどの新しい技術・アイディアを社会実装につなげる仕組み作りと運用がうまい。日本でも新たな価値創造・社会実装に向けた課題を整理し取り組んでいるところだ。インド、米国の良いところを学び、ワーカブルな仕組み・運用を検討していきたい。

関連ページ


フロンティア育成事業:「NEDO先導研究プログラム」

NEDO実用化ドキュメント

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国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
イノベーション戦略センター(TSC)
統合戦略ユニット ユニット長
澤田 篤志

大学では開発経済学を専攻。活気あふれる東南アジアで仕事がしたいと思い商社に入社。直近はインド・東南アジア中心に新規事業開発・投資を担当。CVCの取り組みを通じ技術開発とビジネスをつなぐことに興味が湧き統合戦略ユニットに参加。

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