NEDO Web Magazine

NEDOは2024年度、全12回にわたり、朝日小学生新聞「おどろきサイエンス」のコーナーでNEDOが取り組む最新の技術開発を紹介しています。朝日小学生新聞様のご厚意により、当Web Magazineでもバックナンバー記事を掲載しています。
今後も順次掲載していきますので、ご期待ください。

第8回(朝日小学生新聞2024年11月20日掲載) 「海に風車を建てて発電」開発進む

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イラスト・あきもとまさと

「海に風車を建てて発電」開発進む

地球温暖化を食い止めるためには、二酸化炭素(CO2)を大量に出す火力発電から、発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギーを使った発電方法に切りかえることが効果的です。今回は、再生可能エネルギーの一つである風力発電について、紹介します。

自然の力を利用する再生可能エネルギーで電気を作る方法には、いくつかの種類があります。いま日本で最も発電量が多いのが太陽光発電です。また、ダムを作って水の力を利用する水力発電や、いらなくなった木材や生ごみなどを利用するバイオマス発電もあります。そして、風の力で風車を回して電気を作る風力発電は、クリーンなエネルギーとして重要な役割を果たすことが期待されています。

現在は、陸上に風車を建てる風力発電が主流です。しかし日本は土地が限られているため、風力発電に適していて、生活のじゃまにもならない場所を見つけることが難しくなってきています。そこで注目されているのが、海に風車を建てる「洋上風力発電」です。

日本は四方を海に囲まれているので、風車を建てられそうなところがたくさんあります。海の上では陸よりも強い風が安定して吹くことが多く、効率よく電気を作れるという利点もあります。また、道路の幅が足りずに大きな風車を運べないなど、建てるときの制約が陸上に比べて少なく、より大きな風車を建設できます。

一方、日本の近海は沖合に出ると一気に水深が深くなるため、海底から風車を建設することが難しくなります。そこで、海底に風車の支柱を固定するのではなく、海に浮かべる「浮体式洋上風力発電」も開発されていて、一部で実用化されています。この方法では、陸からより遠くはなれた沖合にも風車を設置できます。

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風が安定して強く吹く場所は?

洋上風力発電には課題もあります。まず、海ならどこでも良いわけではなく、風が安定して強く吹く場所を探さなければなりません。また、海の上に設置するため、作った電気を陸地まで長い距離を運ぶ必要があり、高性能な送電ケーブルなどが求められます。さらに、風車の点検や修理も海上で行うので、陸上より手間がかかります。漁業者など地元の人たちの暮らしや、魚や鳥といった海の生態系への影響も考えなければなりません。

NEDOは、風車や風車を支える基礎部分などを作る技術や海上の風の強さを測る方法の開発、風車の設置に適した場所を調べる「洋上風況マップ」の作成などを行っています。

風の力を使った発電は、CO2の排出を減らし、地球温暖化対策につながる効果的な方法です。私たちがいまできることは、地球を守るために少しずつでもクリーンなエネルギーの利用を増やすことです。そして、風車を活用して未来を明るくしていきましょう。

タイトルと図のデザイン・佐竹政紀

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
私たちの暮らしに欠かせないエネルギー、そして生活に必要なモノやサービスを生み出す活動である産業。NEDOは、エネルギーや産業の新しい技術の研究開発を、国や大学、民間の会社などと協力して進める仕事をしている機関です。

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