NEDO Web Magazine

NEDOは2024年度、全12回にわたり、朝日小学生新聞「おどろきサイエンス」のコーナーでNEDOが取り組む最新の技術開発を紹介しています。朝日小学生新聞様のご厚意により、当Web Magazineでもバックナンバー記事を掲載しています。
今後も順次掲載していきますので、ご期待ください。

第10回(朝日小学生新聞2025年1月15日掲載) 「太陽光発電 より広めるために」

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イラスト・あきもとまさと

太陽光発電 より広めるために

地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス。その約4割が電気をつくるときに排出されます。石炭などの化石燃料を使った発電からCO2を出さない再生可能エネルギーへの切り替えが急がれる中、最も導入が進んでいるのが太陽光発電です。NEDOが取り組む太陽光発電の技術開発を紹介します。

太陽光発電は、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用して電気をつくります。発電時にCO2を出さないクリーンな方法で、これからますます広まると予測されています。

現在日本では太陽光発電の導入が進んでいますが、課題もあります。

まず、太陽から受ける光の量によってつくれる電気の量が変わるため、天気や時間帯の影響でつくれる電気の量が大きく変動することです。しかし、電気はそのままではためておけないので、使う量に合わせて発電しなければなりません。太陽光発電の発電量が足りなくなった場合、他の発電方法でおぎないます。その準備のために、いつ、どのくらい電気が足りなくなるかを事前に知っている必要があります。

NEDOでは、太陽電池の開発に加えて、雲などがどのくらい発生するのかを予測することで、少し先の未来に太陽光発電がつくれる電気の量を推定する技術の開発も行っています。

また、太陽光発電が広まった結果、設置する場所が不足しつつあります。日本はすでに世界各国と比べて、平地の面積に対して太陽電池が設置されている割合がトップクラスです。日本はもともと平地が少ないので、太陽光発電をさらに増やすには、これまで設置できなかった場所も利用する必要があります。

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軽くて曲げられる太陽電池

ここで注目されているのが「ペロブスカイト太陽電池」です。この太陽電池は独特な結晶のつくりをした物質でできていて、フィルムなどの素材を使うことで軽くて曲げられる太陽電池になるという特徴があります。まだ研究段階ですが、発電の性能は年々高まっています。建物のかべや窓など、これまで太陽電池を設置できなかった場所での利用が期待されています。

リサイクルする技術も開発

さらに、こわれたり性能が悪くなったりした設備を捨てるのではなく、リサイクルすることも大切です。NEDOでは使えなくなった太陽電池を素材ごとに分別し、再利用する技術も開発しています。環境のためにごみを増やさないことはもちろん、太陽電池の材料を特定の国や地域にたよって輸入していると、災害や紛争の影響を受けて手に入れられなくなることもあります。そのため、国内で素材の再利用を進めることが重要です。

今回紹介した技術が、いつかみなさんの身近なところで活躍する日が来るかもしれません。

太陽光は世界で最も普及している再生可能エネルギーです。いろいろなところで使われることで、地球温暖化問題の解決を目指しています。みなさんも身近で使われている太陽光発電を探してみてください!

タイトルと図のデザイン・佐竹政紀

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
私たちの暮らしに欠かせないエネルギー、そして生活に必要なモノやサービスを生み出す活動である産業。NEDOは、エネルギーや産業の新しい技術の研究開発を、国や大学、民間の会社などと協力して進める仕事をしている機関です。

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