NEDO Web Magazine

NEDOは2024年度、全12回にわたり、朝日小学生新聞「おどろきサイエンス」のコーナーでNEDOが取り組む最新の技術開発を紹介しています。朝日小学生新聞様のご厚意により、当Web Magazineでもバックナンバー記事を掲載しています。
今後も順次掲載していきますので、ご期待ください。

第4回(朝日小学生新聞2024年7月17日掲載) 「出てしまった二酸化炭素 つかまえる技術」

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イラスト・あきもとまさと

いま世界で大きな問題となっている地球温暖化を防ぐためには、原因となる二酸化炭素(CO2)を出さないことが大切です。でも、今すぐにCO2が全く出ない社会にすることは不可能です。そこで、NEDOは、CO2をつかまえて地中に閉じこめる技術や、つかまえたCO2を別のものに作りかえて大気に出ないようにする技術の開発をサポートしています。

CO2をつかまえる技術の一つは、「CCS」(Carbon dioxide Capture and Storage)です。工場や発電所から発生するCO2をつかまえて、地下深くに閉じこめる技術です。これは、人類が石炭や石油などを地中から掘り出し、燃やすことで空気中に出したCO2を、もう一度地中にもどす試みといえるかもしれません。
まず、工場などで出たガスから、CO2と結びつきやすい特殊な水溶液やまくなどを使ってCO2だけを分離させ、つかまえます。そして、特別な船などでCO2をうめる場所まで運び、長い管を通して地下1キロメートルより深いところに閉じこめます。
大切なのは、CO2をうめる地層の上に、気体を通さないふたの役目をする地層がある場所を選ぶことです。北海道苫小牧市でNEDOのサポートにより行われている実験では、約30万トンのCO2をうめることに成功しました。現在はCO2が地層からもれ出していないか、周りに異常がないかなどをチェックしています。

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CO2をつかまえて利用する「CCU」(Carbon dioxide Capture and Utilization)もあります。CCUには、CO2を冷やしてドライアイスにするなど直接利用する技術とCO2を別のものに作りかえて利用する方法「カーボンリサイクル」があります。
CO2は温暖化の原因という悪いイメージが強調されているかもしれません。けれども、もともと植物は光合成でCO2を取りこみ、糖類などの養分を作っています。カーボンリサイクルはこれと同じように、CO2を使って別の物質を生み出す技術です。別のものに作りかえることで、CO2が大気に出ないようにします。
NEDOが建設した広島県大崎上島町のカーボンリサイクルの研究施設では、多くの会社や大学、研究所などがCO2を他のものに作りかえる研究を行っています。例えば、CO2を取りこむ性質のある微生物を利用して、化粧品や薬品などの原料になる油分を生み出す技術や、飛行機の燃料を作る技術も開発されています。他にはCO2をコンクリートの材料に利用する研究や、CO2を水素と組み合わせて洋服などの素材となる繊維を作る研究も行っています。
こうした研究で、CO2をつかまえたり作りかえたりする技術は進歩しています。そして地球温暖化を防ぐためには、一人ひとりが、電気やガスを節約したりして、CO2をできるだけ出さないよう意識することも大切です。小さな積み重ねが未来を変えることにつながるのです。

多くの会社や大学などが、地球温暖化を解決し、未来をより明るくするための技術を開発しようとしています。必要なものは科学的な考え方と行動力です。みなさんもぜひ身につけて、仲間に加わってください。

タイトルと図のデザイン・佐竹政紀

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
私たちの暮らしに欠かせないエネルギー、そして生活に必要なモノやサービスを生み出す活動である産業。NEDOは、エネルギーや産業の新しい技術の研究開発を、国や大学、民間の会社などと協力して進める仕事をしている機関です。

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