広報誌 Focus NEDO 92号
04.
Promising NEDO Startups 株式会社digzyme
Innovator File.30
株式会社digzyme
代表取締役CEO
渡来 直生 さん
経済の活性化には、「新技術」を競争力とした起業家の育成が重要です。
そこでNEDOは、スタートアップ企業をさまざまな角度で支援しており、その中から、未来に向かって成長を続ける注目のスタートアップ企業を紹介します。
AIによる能動的な酵素探索と酵素改変のプラットフォームで
バイオ生産プロセスを変革
バイオインフォマティクスを基盤技術とし、独自の酵素事業を展開する株式会社digzyme(ディグザイム)。NEDO支援事業での成果をもとに開発した、酵素の機能を予測することが可能な酵素機能改良プラットフォーム「digzyme Spotlight」により、短期間でニーズに合わせた酵素開発を実現します。
バイオインフォマティクスによる酵素デザインプラットフォーム
Q.NEDOの支援事業を受けた背景は?
社会実装する上で酵素機能の改良は必須でしたが、従来の方法では多くの時間とコストがかかるという課題がありました。それらを解決するために、AIを活用した酵素機能改良プラットフォームの開発を目指し、NEDOの支援事業に応募しました。
Q.支援はどのように役立ちましたか?
資金面はもちろん、NEDO事業に採択されたことで認知度と信用度が上がりました。また、NEDO支援事業を通じてBioJapanやInnovation Leaders Summit等のイベントに参加でき、そこでビジネスマッチングやヒアリングができたことも大きな収穫でした。
Q.現在、進めている技術や製品は?
近年、産業用酵素のエンドユーザーにおけるニーズが細分化されてきています。そこで、弊社のコア技術であるバイオインフォマティクスの酵素開発プラットフォームを用いて、さまざまな解析を組み合わせた従来にない酵素ライブラリを迅速に開発し、提供します。
Q.digzymeの“その先”は?
最終的な目標は、酵素業界のゲームチェンジャーになることです。そのために、オープンデータを活用して、より広い領域から酵素を探索し、AIによって酵素を高機能化することで、目的に適した高機能な酵素を迅速に提供していきます。
NEDO事業の採択の実績
2022年 2月採択
研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援/バイオプロセスのin silicoデザイン技術基盤開発
2022年 7月採択
カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発/産業用物質生産システム実証/放線菌宿主によるカンナビノイド化合物生産システム実証
Turning Point
東工大発のスタートアップとして2019年に創業。共同研究の中で、より効率的なバイオプロセス技術の必要性を痛感、NEDOのスタートアップ支援事業に応募して採択された。設立2年半のスタートアップ企業にとって、NEDOの支援は資金だけでなく、事業を進める上で大きなサポートとなった。