広報誌 Focus NEDO 92号
02.
特集|実用化への歩み、着々 バイオものづくり拠点 ととのう!
もうひとつのバイオファウンドリを紹介
高付加価値タンパク質を大量生産~植物バイオファウンドリ~
高付加価値なタンパク質を省エネルギーで生産する植物バイオファウンドリの整備へ
微生物の力を利用するバイオものづくりが進行する一方、もう1つのバイオものづくりとして期待されているのが植物の潜在機能を引き出す植物バイオファウンドリです。
現在、さまざまな産業で使われている高付加価値なタンパク質を植物から生産するには、安定的な栽培方法がなかったり、微量しか確保できなかったり、また開発に時間がかかったりといった課題があります。
NEDOは、植物の機能を改変し、植物の持つ高い潜在能力を生かして、高度な翻訳後修飾技術を必要とする医薬品の原材料となったり、診断薬・試薬、サプリメントなどに利用されたりする高付加価値タンパク質を効率よく生産できる植物と、その栽培技術の開発に取り組んでいます。また、大量の植物材料からタンパク質を抽出・精製する技術の開発にも取り組んでいます。植物は水とCO2と太陽の光とわずかな栄養で成長するため、非常に小さなエネルギーでタンパク質を合成できる可能性があります。植物から微量しか生産できなかった高付加価値タンパク質を効率よく大量に生産できるようになれば化石燃料の削減につながり、環境に優しいバイオものづくりが実現します。
NEDOは、微生物のケースと同じように合理的に遺伝子操作を行い、目的とするタンパク質をより合成しやすくした植物を栽培し、研究や試作をする場所としての植物バイオファウンドリの整備を支援していきます。多くの企業が活用することを期待しています。