NEDO Web Magazine

広報誌 Focus NEDO 92号

02.

特集|実用化への歩み、着々 バイオものづくり拠点 ととのう!

MESSAGE|社会実装に向けて、開発の加速に期待します

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人材育成や人的交流を促進し裾野を広げることが重要

バイオものづくりは、持続可能な循環型社会の実現に貢献するだけでなく、化学の根本的な基盤に迫る可能性も秘めていると考えています。しかし、バイオマス原料の問題に加え、スマートセル開発のさらなる高度化、培養プロセスの最適化やスケールアップ手法など、課題は多くあります。これらを解決し、産業化につなげるには、情報技術やロボティクス等を取り込んでいくことも重要です。バイオエコノミー社会の実現には、バイオものづくりに関わるプレイヤーを増やし、裾野を広げることが不可欠です。NEDOプロジェクトは、社会実装への道筋をつくり、成功事例を示していくと同時に、人材を育成し、裾野を広げるための共通基盤を整備する役割も担っています。私が若い頃、企業の研究者として国家プロジェクトに携わったときに多くの研究者と交流しながら多様な知見や視点を得たことは、その後の大学での研究に大いに役立ちました。本プロジェクトを通じて、企業・アカデミアの研究者間の人的交流が促進され、バイオものづくりの課題や将来像を俯瞰的に見る視点等、社会実装に対する考え方が醸成されることを期待します。

国立大学法人 千葉大学 名誉教授 博士(工学)プロジェクトリーダー 関 実

国立大学法人 千葉大学
名誉教授 博士(工学)
プロジェクトリーダー
関 実

国内に植物ものづくりの礎をつくり、世界のトップを目指してほしい

植物によるバイオものづくりは、水とCO2と光で物質をつくる効率的で省エネルギーな生産システムです。しかし、微生物と違い、この分野は歴史が浅く、海外でも研究が進められていますが、実用化されている例はまだ多くありません。もともと日本は世界でトップレベルの基礎的技術を持っており、植物の特徴や優位性を生かして省エネルギーかつ効率的に生産できる技術を、企業が選択肢の1つとして活用できる環境=拠点を国内に整備することが大切だと考えています。
植物ものづくりには、遺伝子操作技術や栽培技術、抽出・精製技術といった多様な専門技術が不可欠です。異なる分野の企業・アカデミアを結集し、基盤技術から実証まで一貫して取り組めるのがNEDOプロジェクトのメリットです。次ページで紹介する植物バイオファウンドリをきっかけに、植物ものづくりの事業化の実例が増え、この分野に目を向けてもらうことで技術の成熟が進めば、ニーズや課題が見え、さらに技術が成熟していくでしょう。本プロジェクトを土台に、植物によるバイオものづくりにおいて日本が世界のトップになることを願っています。

サブプロジェクトリーダー  松村 健

サブプロジェクトリーダー
松村 健

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