経済の活性化には、「新技術」を競争力とした起業家の育成が重要です。
そこでNEDOは、スタートアップ企業をさまざまな角度で支援しており、その中から、未来に向かって成長を続ける注目のスタートアップ企業を紹介します。

液化水素の輸送・保存に最適な超断熱材TIISA®で
サステイナブルな地球環境を目指す

水素社会の実現と省エネルギーの２軸で、地球温暖化対策に取り組む株式会社Thermalytica（サーマリティカ）。プロジェクトでは、水素の輸送・貯蔵において最大の課題となる気化損失を劇的に改善する、液化水素保冷容器向けの超断熱充填材「TIISA®」^※の研究開発に取り組み、カーボンニュートラルに寄与する液化水素の効率的な長距離輸送と長期間保存の実現を目指します。

※「TIISA」は日本を含む9カ国・地域に商標出願済。

Q.NEDOの支援事業を受けた背景は？

水素社会を早期に実現するために、NEDOプロジェクトに参加して断熱材技術を開発する必要があると考え、2021年の会社設立直後に応募し、採択されました。さらに、2023年4月のJ-Startup 2023選定をきっかけにNEDO海外展開支援プログラム米国コース（シリコンバレー）および 欧州コース（パリ）を活用しています。

Q.支援はどのように役立ちましたか？

プロジェクトでは、液化水素保冷容器向けのTIISA®の性能向上と実用化開発において成果を得ることができ、重工メーカー様に注目をいただいています。また、NEDO海外展開支援プログラム米国コース（シリコンバレー）および 欧州コース（パリ）では米国と欧州に進出する足がかりを作ることができました。

Q.現在、進めている技術や製品は？

TIISA®超断熱微粒子については、液化水素の運搬・貯蔵向けの開発が順調に進んでおり、装置メーカーとの連携を模索しています。また省エネルギー向けのTIISA®二次製品の事業化も順調で、2024年からTIISA®断熱塗料の国内外での販売を開始します。

Q.Thermalyticaの“その先”は？

地球温暖化が進む中、省エネルギー対策は待ったなしの状況です。水素社会実現には時間がかかりますが、地道に開発を進めていくことが不可欠です。TIISA®断熱塗料など省エネルギーに有効な製品は、早期かつグローバルに社会実装していきたいと考えています。