広報誌 Focus NEDO 90号
04.
Promising NEDO Startups 株式会社ネクステムズ
Innovator File.28
株式会社ネクステムズ
代表取締役社長 比嘉 直人 さん
経済の活性化には、「新技術」を競争力とした起業家の育成が重要です。
そこでNEDOは、研究開発型ベンチャーをはじめ、さまざまな角度でスタートアップ支援を実施しており、その中から、未来に向かって成長を続ける注目のスタートアップ企業を紹介します。
再生可能エネルギーを最大限に活用し、
次世代型ゼロエミッション植物工場を目指す
本研究は、農山漁村に豊富に賦存する再生可能エネルギーを最大限活用し、既存の電力系統に依存しない、また廃棄物(CO2、排水)を排出しない、次世代型ゼロエミッション植物工場の離島モデル開発を目指すものです。宮古島に再エネで稼働する植物工場実験施設を設置し、電力需給バランスを調整するデマンドレスポンス※の発動時や電力系統停電時の工場内の環境変化や植物への影響についてデータを取得・評価するとともに、変動する再エネ電力で工場を運用する技術基盤を構築しました。
植物工場実験施設
Q.NEDOの支援事業を受けた背景は?
宮古島では今後、再エネ導入率のさらなる拡大が予想されています。そこで、再エネを最大限活用できるゼロエミ植物工場を実用化できれば、エネルギーと食料の地産地消を達成する先行的な事例になると考えプロジェクトに参画しました。
Q.どんな効果や影響がありましたか?
本事業は、電力中央研究所、佐賀大学、当社の共同で実施しました。特に、植物の成長に与える影響等については、当社の知見では足りず、専門知識を持つ共同事業者の存在が必須でした。適宜、外部有識者から評価、指導をいただきながら各事業者の役割を明確化して取り組みました。
NEDO先導研究プログラムは、産学官連携で共同研究を実施する場合に非常に適したプログラムと感じました。
Q.現在、進めている技術や製品は?
この技術を活用したゼロエミ植物工場のパッケージ化と海外展開を見据え、NEDO「スマートコミュニティ実証事業に関する技術のシステム化検討と海外展開ポテンシャル調査」に応募し、採択されました。国内外のニーズを捉えながら、社会実装に向けて取り組んでいます。
Q.ネクステムズの“その先”は?
ゼロエミ植物工場はパッケージ化することで、他の離島への展開が可能となります。将来的には、海外の非電化地域を含むあらゆる場所に展開し、各国の食とエネルギーの問題解決に貢献するとともに、宮古島発の研究成果を世界に発信することを目指しています。
NEDO事業の採択の実績
2021年 3月採択
NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/植物工場向けDR・生育維持システムの基礎技術開発
2022年 6月採択
再生可能エネルギーの主力電源化に向けた次々世代電力ネットワーク安定化技術開発/疑似慣性PCSの実用化開発
2022年 10月採択
水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発/宮古島エリアにおけるグリーン水素・水循環利用社会(離島型水素製造・利活用モデル)構築に向けた実現可能性調査
2023年 10月採択
スマートコミュニティ実証事業に関する技術のシステム化検討と海外展開ポテンシャル調査