広報誌 Focus NEDO 90号
03.
未来を切り拓く実証施設 大崎上島 カーボンリサイクル実証研究拠点
二酸化炭素を資源に変える挑戦!
「大崎上島 カーボンリサイクル実証研究拠点」
MISSION
産学官の英知を結集し、カーボンリサイクル技術の実用化を加速せよ!
3つの研究エリア
①実証研究エリア
屋外の敷地にCO2等を供給するインフラを整備。事業者がそれぞれ必要な設備を設置し、カーボンリサイクル技術の経済性やCO2削減効果等を評価するための実証研究を行う。
②藻類研究エリア
微細藻類の培養・分析に必要な設備を完備。微細藻類を原料とするバイオジェット燃料の製造技術確立を支援する測定・分析手法や条件設定等の標準化に取り組む。
③基礎研究エリア
6つの研究室からなる基礎研究棟と、分析室や会議室を備えた共用棟で構成。将来のカーボンリサイクル技術の要素技術の確立に向けた基礎研究・先導研究を行う。
風光明媚な瀬戸内海に浮かぶ、広島県・大崎上島。この地に、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、カーボンリサイクル技術の早期実用化を目指す実証施設「カーボンリサイクル実証研究拠点」が2022年6 月に完成しました。
「カーボンリサイクル」とは、地球温暖化の要因とされる二酸化炭素(CO2)を炭素資源(カーボン)と捉え、これを回収し、多様な炭素化合物として再利用(リサイクル)することです。カーボンリサイクルの推進は、大気中に放出されるCO2を削減すると同時に、資源の安定的な供給源の確保につながります。
NEDOは、これまで大崎クールジェン株式会社と共に、大崎上島にある中国電力株式会社大崎発電所内で、CO2分離・回収型酸素吹石炭ガス化複合発電などの次世代火力発電の実証研究を行ってきましたが、2019年9月に経済産業省が発表した「カーボンリサイクル3Cイニシアティブ」に基づき、2020年からは同発電所内でカーボンリサイクル実証研究拠点の整備を開始していました。
本拠点は3つのエリアから構成され、その最大の特徴は、大崎発電所での次世代火力発電の実証研究で分離・回収したCO2をパイプラインで本拠点に直接輸送し、カーボンリサイクル技術の研究開発に利用できる、すなわちカーボンリサイクル技術を発電所で実用化する場合を想定した環境で研究開発を実施できることにあります。現在、「実証研究エリア」では、微生物を利用してCO2から有用物質を生成するプロセスや、CO2から化成品原料を選択的に合成する触媒の、「藻類研究エリア」では微細藻類から航空燃料を製造する技術等の研究開発を行っています。また、6つの研究室で構成された「基礎研究エリア」では、カーボンリサイクル技術の基礎研究や先導研究が進められています。
脱炭素社会の実現を志す企業や大学等の知力・技術を結集し、要素技術の開発や実証研究を集中的かつ横断的に行えることは、本拠点の大きな意義となります。NEDOは、本拠点でカーボンリサイクル技術のイノベーションと早期実用化を加速させ、地球環境問題の解決に貢献します。