広報誌 Focus NEDO 89号
04.
Promising NEDO Startups 株式会社アークエッジ・スペース
Innovator File.27
株式会社アークエッジ・スペース
代表取締役 福代 孝良 さん
経済の活性化には、「新技術」を競争力とした起業家の育成が重要です。
そこでNEDOは、研究開発型ベンチャーをはじめ、さまざまな角度でスタートアップ支援を実施しており、その中から、未来に向かって成長を続ける注目のスタートアップ企業を紹介します。
地球低軌道から月面インフラ構築まで
幅広い分野で利用できる
超小型衛星ソリューションを提供
「誰もが衛星ビジネスに参画できる未来」の実現を目指し、超小型衛星※の開発と衛星の利活用による新事業を展開する株式会社アークエッジ・スペース。衛星の製造・打ち上げにかかるコストの大幅な軽減を実現し、また軌道上で複数の衛星を連携した運用(コンステレーション)により、高い頻度での衛星通信や地球観測を可能にします。
ラスベガスで開催されたCES2023における展示。
Q.NEDOの支援事業を受けた背景は?
開発・実証フェーズから超小型衛星の事業化に本格的に移行するタイミングで採択され、支援いただきました。また、当技術の活用先の一つとして、船舶向け通信衛星コンステレーションの構築と海洋状況把握・海洋デジタル化に向けた事業にも採択されました。
Q.どんな効果や影響がありましたか?
宇宙空間の過酷な環境に耐える人工衛星の開発や運用等にかかるコストは、スタートアップ企業にとっては大きな負担となります。NEDOの支援は資金面での負担軽減だけでなく、当社の信頼性を高め、新たなビジネスチャンスや案件獲得などにもプラスになっています。
Q.現在、事業化されている技術や製品は?
ルワンダ初の人工衛星「RWASAT-1」、超小型人工衛星「OPTIMAL-1」など、多数の超小型衛星の開発・運用実績があります。また、超小型月探査機「EQUULEUS」や、彗星探査用の「Comet Interceptor」など、地球周回軌道以外にも多くの探査機の開発・運用を行っています。
Q.アークエッジ・スペースの“その先”は?
船舶向け衛星通信(衛星VDES)や、山林や遠隔地のセンサー情報を収集する低電力IoT通信、広い周波数領域で画像情報を収集する地球観測等の分野で事業を拡大する他、月面インフラ構築や深宇宙探査等、最先端の超小型衛星の開発・実証にも取り組んでいきます。
NEDO事業の採択の実績
2018年 7月採択
研究開発型ベンチャー支援事業(超小型低軌道周回衛星網による全球 IoT・M2M サービスの提供)
2023年 3月採択
経済安全保障重要技術育成プログラム/船舶向け通信衛星コンステレーションによる海洋状況把握技術の開発・実証
2023年 7月採択
宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業(超小型衛星の汎用バスの開発・実証支援)
Turning Point
東京大学で培ってきた超小型衛星の技術を社会実装することを目的に創業。開発・実証フェーズから事業化や体制構築に向けて本格的に移行していくタイミングで、NEDO事業に応募し、採択。量産化、市場開拓といったフェーズで、NEDOのサポートが大きな力になった。