広報誌 Focus NEDO 89号
03.
未来を切り拓く実証施設 福島水素充填技術研究センター
大型・商用モビリティ(HDV)の脱炭素化へ!
「福島水素充填技術研究センター」
MISSION
燃料電池を搭載した大型・商用モビリティ(HDV)への
水素充填時間10分を目指せ!
MAIN EQUIPMENT
・トレーラー2台を設置可能な水素受入設備(写真左)
・水素ディスペンサー2基(写真中央手前)
・中圧水素圧縮機4台
・高圧水素圧縮機2台
・中圧水素蓄圧器(400リットル×9本)
・高圧水素蓄圧器(300リットル×27本)
・模擬容器(200リットル×10本)
究極のクリーンエネルギーとして期待されている水素エネルギー。経済産業省が策定した「水素・燃料電池戦略ロードマップ(2019年3月改訂)」では、大型・商用モビリティ(HDV:Heavy Duty Vehicles)を含めた水素ステーションの整備が掲げられていますが、HDVに必要な大流量水素の充填方法や正確な計量技術の開発、また安全に充填するための標準化が課題です。
このため、NEDOは「超高圧水素インフラ本格普及技術研究開発事業(事業期間:2018~2023年度)」において、HDVへの大流量水素充填技術や大流量計量技術の開発・検証を行う研究施設「福島水素充填技術研究センター」の整備を進め、2022年12月から本格的に運用をスタートしました。
本センターは、大流量で水素を充填できる水素ディスペンサーを2基設置。この他、約900気圧(87.5MPa)まで昇圧するための圧縮機や試験に十分な大量水素を貯蔵できる蓄圧器、模擬容器などを備えた世界有数のHDV用水素充填試験施設です。ここでは、水素を充填する際の予冷温度と充填速度を管理・調整することで、短時間で効率的に水素を充填できる「大流量水素充填技術」の開発を行います。HDVに求められる大容量・高速水素充填(80kgの水素を約10分で充填)技術を確立するとともに、得られたデータを用いて国際標準化のための取り組みを進めます。また、より高い精度で水素の流量を計量するため、標準流量計で校正された可搬形流量計(マスターメーター)によって水素ステーションの流量計の精度を検査する技術「マスターメーター法」の開発を進めています。装置が大型で高価なものとなってしまうこれまでの検査方法(重量法)と異なり、流量計のより正確な精度検査と、検査にかかるコスト低減が可能となります。
NEDOは、本センターでの開発を通じ、世界各国で導入が期待されているHDV向けの水素ステーションの早期実現を目指します。