NEDO Web Magazine
AI研究開発のバトンをつなぐ先導研究

次世代AI技術へのアプローチ

ロボット・AI部では「AI研究開発のバトンをつなぐ先導研究」において、15年から20年先の社会実装を見据えた革新的なAI技術への提案募集を通じて、2023年度から下記の2テーマについて先導的な研究開発を実施します。NEDOロボット・AI部の植松職員は「いろいろなことが想定できるテーマ。どんな提案が見られるか楽しみです」と期待を語りました。

植松 郁哉 UEMATSU Ikuya

NEDO ロボット・AI部

Project AIと人が多対多で協調し合う基盤技術の開発

現行のプロジェクトでは、「なぜその結果推論を行ったか? について説明性を持ったAI」と「人間の知識・知見を組み込むことができるAI」といった、人とAIが互いの得意分野を持ち寄ることで人とAIが共に進化する技術の研究開発が進んでいます。しかし、現段階のAIと人との関係はあくまで1対1であり、AIの推論結果やユーザーから得た情報は、個々のAIで閉じたものになっていました。そこで今後は、さまざまなAIを組み合わせたAI群を作成し、複数分野のAIを組み合わせることで新しい推論を導き出すAIの基盤技術の開発に取り組み、これまでAIの導入が困難だった大規模かつ複雑な問題に対してもAIが適応できる技術の提案を求める予定です。

Project 次世代AI技術の確立と新産業創出に向けた理論学習型AI・仮説指向型AIに関する研究開発

現在実用化されている主要なAI技術では、多くのデータを学習用データとして使用してモデルを作成することにより、人に匹敵する、あるいは人を上回る精度での推論を実現しています。しかし、高精度な推論を行うモデルを作成するためには、膨大なデータを必要としているため、大量のデータを集めることが難しい場合は、正確な推論を導くことが困難でした。また、 AIが導き出した推論について、その説明性を担保できないという問題も存在しています。これらの課題を解決するため、物理科学や自然科学の数式・理論等をAIの学習に組み込むことによって、少ないデータであっても学習でき、AIの推論に対する一定の説明性が保てるAI技術の提案を求める予定です。

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