NEDOは、AI技術の研究開発を進めることで日本が抱える社会課題の解決に貢献することを目指してきました。
人間中心の社会をより豊かに、より安全で快適なものにするためその進化をさらに加速しようとしています。
日本の強みを生かしたAI技術で
人とAIの共生を目指す
AI技術は、世界各国で研究開発が進み、日々進化を続けています。産業や社会インフラ等への影響も大きく、日本でもSociety 5.0や脱炭素社会への貢献をはじめ、直面する高齢化、人口減少、インフラの老朽化といった社会課題の解決に、AIをはじめとしたテクノロジーの活用が求められています。
こうした背景の下、NEDOはAI技術の基礎から応用までの研究開発を集中的に実施するため、2015年から要素技術開発や応用技術開発に取り組む「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」に着手しました。その後もAI技術の国際的な開発競争が激化する中、社会的・経済的な影響が大きい分野に対しても社会実装を進める技術開発事業を開始。2020年度からはより高度な研究課題に取り組む必要があると考え、日本の強みを生かしたAIの社会実装を目指して、人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発をスタートさせました。
現在NEDOは、製造・医療・交通といった社会的・経済的な影響が大きい分野を中心に、AI技術の適用を拡大していくために、4つのプロジェクトを進行しています。
各プロジェクトでは、例えば交通信号をAIが適切に制御する技術や遠隔診療において医師の触診を可能にする技術、またAIを搭載した育児支援ロボット等のように、低炭素社会の実現や少子高齢化が進む中での安心・安全な社会の実現に貢献する技術開発を進めています。
政府も「AI戦略2022」の中で、「人間尊重」「多様性」「持続可能」を基本理念とし、人材、産業競争力、技術体系、国際に加え、差し迫った危機への対処の5つの戦略目標を設定。とりわけサステイナビリティ分野でのAI活用で強みを磨くことと、高品質で信頼性が高く安心・安全なAIによる競争力強化をうたっています。今後は、情報産業だけでなく、製造業や医療・介護といったフィジカルとの接合が望まれる分野でも、より一層AIが導入されるように研究開発を加速する必要があります。
次ページからは、今後NEDOが取り組もうと考えている事業の概要や研究開発の方向性について解説する対談と、実世界でAIの活用に取り組む各事業者の事例を通して、これまでの成果と今後の展望を紹介します。