食品製造業や自動車産業、製薬企業等
幅広い産業分野での活用に期待
工場の生産プロセスからは80~100℃の未利用熱が廃棄されています。この排熱を熱源として利用し、より高温の熱に再生するヒートポンプ技術を確立できれば、工場の省エネルギー化や脱炭素社会の実現に貢献できると期待されています。
NEDOは、株式会社前川製作所と共に高効率高温ヒートポンプの実現に取り組み、最高加熱温度200℃、COP3.5を目指して開発を進めてきました。開発したヒートポンプを導入したとき、生産プロセスの一次エネルギーは約48%削減でき、未利用熱は大幅に削減できます。
目標の達成には、高温・高圧に対応した冷媒、圧縮機と熱交換器といった要素技術から開発する必要がありました。圧縮機の吐出温度が200℃以上になると、一般的な潤滑油は使用が困難なため、磁気軸受による非接触のオイルフリーターボ圧縮機を開発し、熱交換器についても高温高圧に対応した技術を新たに開発しています。一次試作機では、炭化水素系の冷媒を採用しましたが、二次試作機では、その後登場したフロン系の低GWP冷媒を使用し、同時に圧縮段数を3段から4段に、さらに回転数を見直すなどの最適設計を行うことで、2022年度内の目標達成がほぼ確実になっています。
前川製作所 技術研究所 副所長の工藤 瑞生氏は「圧縮機や熱交換器の開発にあたっては早稲田大学理工学術院の太田 有教授と勝田 正文教授から多くの知見を得ることができました。アカデミアとチームで取り組むことができたのはNEDOプロジェクトならではだと思います」と語り、同社の技術企画本部執行役員の町田 明登氏は「NEDOプロジェクトに採択されることで、社内でも社会課題の解決というチャレンジが認知される効果は大きい」と語ります。
今後同社は、システムの小型化を図り、フィールド試験を行うことで「効果の見える化」を進め、2025年度には本格的な市場導入を開始する予定です。
工藤 瑞生 氏
町田 明登 氏