NEDO Web Magazine
Management 熱マネジメント
電動車の熱量調査・次世代エネルギーマネジメントデバイスの研究開発

多様なxEVに最適なデバイスを選定できる車両熱計測技術を開発

熱変換デバイス試作品(上)。
エネルギーマネジメントデバイスの選定・搭載イメージ(下)。

−40〜55℃の外気温と30〜100%の湿度条件を再現できる実車環境風洞実験設備。

実車両で排出ガスの熱量を分析し搭載するデバイスの価値査定、
最適な設置位置の検討に活用

自動車からのCO2排出量削減に向け、xEV(電動車)の燃費向上を図るためには、それぞれの車両の熱エネルギーフローに合わせたエネルギーマネジメントデバイス(排熱回収デバイス、熱電変換デバイス、暖房用ヒーター等)が必要となります。それには、車両の開発前の段階で、排熱量やエネルギー利用量、燃費効果等を把握することが求められます。

NEDOとマレリ株式会社は、それぞれパワートレインの異なる多様なxEVの車両全体の熱エネルギーフローが推計できるシミュレーションモデルの構築と、各車両に最適な熱エネルギーマネジメントデバイスを探索するための基盤技術の研究開発に取り組みました。

プロジェクトでは、パワートレインの違いによる未利用熱量を調べるため、外気温−20〜35℃の条件下におけるシリーズパラレル式HEVのエネルギーフロー、加えてシリーズ式HEV・PHEV・マイルドHEVの排出ガスの熱量を計測し、車両ごとに回収できる熱量の差を定量的に把握しました。

また、排出ガスの熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換デバイスを搭載した際の、発電量と燃費をシミュレーションし、最も燃費効果の得られるデバイスの搭載位置を確認することが可能になりました。これらの測定結果を基に、シミュレーションの精度を上げ、最適なエネルギーマネジメントデバイスの選定に活用していきます。

マレリの中嶋 史朗氏はプロジェクトについて「車両を理解するにあたり、TherMATに参加する企業や大学等と連携できたことは非常に有意義でした」と話し、同社田中 英郎氏は「弊社の環境風洞実験設備を活用し、排熱量を低温条件で測定できたことも成果の一つ」と振り返ります。同社久永 徹氏は「エネルギー資源の少ない日本では内燃機関の熱効率を上げていくことは不可欠。BEV化が叫ばれていますが、PHEVやHEVも含め、社会の変化を冷静に見極めながら開発を進めていきたい」と語りました。

大谷 泰史 氏(写真上左)

マレリ株式会社
インテリア・エクスペリエンス事業本部
実験研究センター管理部
主管

久永 徹 氏(写真上右)

マレリ株式会社
グリーン・テクノロジー・ソリューション事業本部
グリーン・テクノロジー・ソリューション先行開発部
所属長

中嶋 史朗 氏(写真下左)

マレリ株式会社
グリーン・テクノロジー・ソリューション事業本部
グリーン・テクノロジー・ソリューション先行開発部

田中 英郎 氏(写真下右)

マレリ株式会社
インテリア・エクスペリエンス事業本部
実験研究センター管理部

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