NEDO Web Magazine
PROJECT.4/4
セキュアオープンアーキテクチャ向けコンパイラバックエンドおよび対応ランタイム環境の設計・開発

「RISC-V」の利活用を促進し組み込みシステムの競争力向上を目指す

RISC-Vコア向けのOSや開発支援ツールを共同開発し、
市場で競争力を発揮する処理効率とリアルタイム性を実現しました。

共同研究で強化した技術連携を生かして
事業化と国内のRISC-V活用を推進

これまで組み込み向けCPUの命令セット・アーキテクチャ(ISA:Instruction Set Architecture)で高いシェアを占めてきたライセンス仕様の「ARM」等に代わり、近年、オープンソースの「RISC-V」が急成長を見せています。しかし、RISC-V開発環境において、処理効率やリアルタイム性、安全性、電力コスト等、課題も多いのが現状です。

こうした背景を受け、NEDOは、イーソル株式会社、京都マイクロコンピュータ株式会社、株式会社エヌエスアイテクス、株式会社OTSLと共同で、RISC-VコアをベースとしたOSやアプリケーションの開発環境の整備・拡張と実用化を目的に、誰もが使いやすい組み込みシステム向けソフトウエアスタックを含むツールチェーンの研究開発に取り組みました。

プロジェクトでは、RISC-Vに最適化されたマルチコア対応の高性能ランタイム環境(RTE/OS)、C言語コンパイラ、RISC-Vに対応する並列化支援ツール等を開発。RTEプロトタイプ版とLinuxの比較評価を行い、同等の性能であることを確認しました。京都マイクロコンピュータの辻 邦彦氏は「実際の開発現場に近い環境だったので、ユーザーにとって適合性が高く、事業化しやすいことがメリット」と話し、エヌエスアイテクスの西村 成司氏は「衰退していた可変長ベクトル命令の技術の再構築に挑戦できたことは大きなやりがいとなりました」と振り返ります。イーソルの権藤 正樹氏は「世界と戦うためには、日本のツールベンダーが手を組んでRISC-Vのソフトウエアツールチェーン・エコシステムを構築していくことが不可欠。車やデジタルイメージングなど、日本が得意な高信頼性が求められ、コスト効率のいい分野において、日本のメーカーがシェアを獲得していく一助になれば」と期待を込めました。

産業界・開発者コミュニティ

権藤 正樹 氏

イーソル株式会社
専務取締役 CTO
ソフトウエア事業部長
(写真左)

西村 成司 氏

株式会社エヌエスアイテクス
開発部 開発PF課
担当課長
(写真中央)

辻 邦彦 氏

京都マイクロコンピュータ株式会社
ゼネラルマネージャ
(写真右)

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