NEDO Web Magazine
PROJECT.3/4
5G時代を見据えた高度自律的学習機能搭載のためのAIエッジコンピューティング技術の研究開発

高度な学習機能を持つドローンの自律飛行でインフラ点検等の新たな需要を拡大

アルゴリズム圧縮と自律的学習機能の高度化により、
ドローンに搭載可能な軽量化AIの開発に成功しました。

高度自律的学習機能と自律飛行制御システムを搭載したスマートドローン。

AI処理に要するデータ量を10分の1に圧縮した
学習アルゴリズムで、人物検知に十分な性能を発揮

2022年12月から施行される改正航空法により、有人エリアでの目視外飛行が可能(レベル4)になるドローンは、物流、点検、警備・監視等の多様なフィールドでの需要が期待されています。より高度な自律飛行には、ドローンの目となるカメラやセンサーで収集した膨大な情報をデバイス側で解析し、瞬時に判断して飛行制御につなげる技術が不可欠です。しかし、重量や電力等のリソース制約が大きいドローンでは、高度なAI処理機器の搭載により飛行スペックが低下するという課題がありました。

これらの解決を目指し、KDDI株式会社と株式会社アラヤは、NEDOの「革新的AIエッジコンピューティング技術の開発事業」に応募し、採択。AIエッジコンピューティングを用いた自律制御技術とエッジ・クラウド連携技術、高度自律的学習機能等の研究開発に挑みました。

プロジェクトでは、データの効率化による演算量削減によってAIを軽量化すると同時に、AI自体が自律的に学習・判断する「人工意識」を開発。複数の学習アルゴリズムを実装したドローンが、10分の1のデータ量でも十分に人物を検出できることを確認しました。これらの評価を基に、今後は構造物点検等において応用可能か検討を行う予定です。

KDDIの杉田 博司氏は、「複数年度にわたるNEDO事業は開発計画が立てやすく、対外的にも大きなPRになりました」と話し、アラヤの蓮井 樹生氏は「当社の技術を用い、具体的な課題に対して独自性のある研究開発ができたことは大きな収穫」と振り返ります。同じく玉井 信也氏は、「人工意識によって、ドローンがより賢く自律的に学習し、実際のユースケースで使えるよう技術を確立していきたい」と抱負を語りました。

杉田 博司 氏

KDDI株式会社
事業創造本部
DX企画推進部 リーダー
(写真左)

蓮井 樹生 氏

株式会社アラヤ
取締役 CEnO 兼
新規事業開発部 部長
(写真中央)

玉井 信也 氏

株式会社アラヤ
新規事業開発部
シニアエンジニア
(写真右)

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