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PROJECT LEADER INTERVIEW|「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」プロジェクトリーダーPROJECT LEADER INTERVIEW|「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」プロジェクトリーダー

本村 真人

MOTOMURA Masato

国立大学法人 東京工業大学科学技術創成研究院 教授。博士(工学)。1987年京都大学理学部修士を修了後、日本電気株式会社にてリコンフィギュラブルハードウェア、オンチップマルチプロセッサ等の研究開発と事業化に従事。1991~1992年米国マサチューセッツ工科大学客員研究員。2011年より北海道大学教授を経て、2019年から
現職。2022年、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)フェローの称号を授与。同年、 市村学術賞功績賞受賞。

多様なプレイヤーが参画し、粘り強く研究を続けることで日本発の技術を育てたい|プロジェクトリーダーのおもうコト

世界規模で激しい開発競争が繰り広げられているAIエッジコンピューティング技術。
その中で本プロジェクトが果たした意義や達成度、今後の展望を、
本村真人プロジェクトリーダーに聞きました。

―NEDOは2018年から、ポストムーア時代の社会課題の解決を目指し、AIエッジコンピューティング技術の開発を進めています。
本村先生が、プロジェクトリーダーに就任されたときのお気持ちを聞かせてください。

私が専門とする研究分野と非常に近しい領域であり、プロジェクトの開始当時、米中はすでにかなりの勢いで研究開発を進めていたため、日本ももっと開発に注力すべきだという強い必要性を感じていました。今回のNEDOプロジェクトに関わることで、日本のAIエッジコンピューティングの活性化の力になれるなら、という思いで役目を受けました。

―プロジェクトリーダーとして気を配ったことは何でしょう。

AIエッジコンピューティングは、毎日新しいアイデアが生まれている、最もホットな研究分野です。そのため、情報感度を高くしておくことが欠かせません。最新の研究成果をキャッチアップできていないグループには、そうした観点からアドバイスをしました。また、プロジェクトを健全に進めるため、常に応用機器やユースケースを想定しながらハードとソフトの研究開発を進めるという視点を大事にするように働きかけてきました。

―プロジェクトの進捗については、どのように評価しますか。

電力効率を10倍以上にするという目標は、各グループおおむね達成していると思います。試行錯誤しながらも、大きな成果を示してくれたと感じています。一方で、数字に表れない価値を評価することも大切だと思っています。市場をリードする技術を育てるという意味では、実は研究開発と同じくらい価値を見極める目が必要です。参加した企業の中には、この分野で実績があるところもあれば、これまで知られていない企業もあり、日本の活力を感じました。また、プロジェクト発足後、新規に公募した際には、新しいエコシステムが現れたことも心強いです。この流れを若い世代につなげることが今後の課題だと思います。

―NEDOプロジェクトの意義については、どうお考えですか。

このプロジェクトがなかったら、日本のAIエッジコンピューティングのアクティビティは低いレベルのまま、世界から大きく引き離されていただろうと感じます。研究開発を続けるためにNEDOがサポートする意味は、決して小さくないでしょう。
今、市場で優位な技術が10年後も変わらず支配的であるとは限りません。特にこの分野は進化のスピードが速いため、チャレンジし続けることで、スポットライトが当たる技術が生まれる可能性は十分にあります。そのためには、多様なプレイヤーが生まれる土壌をつくり、人材を育て、粘り強く研究を続けることが重要です。日本の強みである組み込み技術の蓄積を生かしながら世界と競争し続けるためにも、今後も支援を続けてほしいと願っています。

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