NEDO Web Magazine

特集

革新的AIは現場エッジ」に効く

AIエッジコンピューティング

本格的なIoT社会は、膨大なデータがあふれる社会でもあります。
NEDOは、消費エネルギーの増大など、今後の課題を解決するため
革新的AIエッジコンピューティング技術の開発を進めています。

日本の情報産業の競争力強化と
マーケットの獲得を目指して

ものづくりや医療、物流・交通、農業等、社会の幅広い分野でAIの活用が始まっています。現在のAIは、「学習」と「推論」をクラウド側のサーバーで行うことが前提です。しかし、社会で発生するデータ量が急増するとともに、その処理のための消費エネルギーも大幅に増加するという問題も起きています。また、現場とサーバーが離れていることで、リアルタイムの対応が難しいことや、通信が不安定になった場合、完全自動運転車やサービスロボット等では、重大な事故につながる恐れがあります。

こうした課題に対する解決策の一つが、AIエッジコンピューティングです。エッジ、つまりユーザーの近くでAIの学習モデルを用いて推論するため、リアルタイムな対応が可能なだけでなく、インターネットに常時接続していなくても、データを処理することができます。また、エッジAIでもクラウド側で学習を行うためデータの送信が発生しますが、その場合も特定のデータのみ送信するのでセキュリティの担保と、通信コストの削減が実現できます。

ポストムーア時代を迎え、世界的規模のゲームチェンジが予想される中、NEDOは日本の強みを生かした「革新的AIエッジコンピューティング技術の開発」に取り組んでいます。

技術的には、いかに高速な処理を低消費電力で行うかが課題となっており、エッジで情報処理を実現する革新的AIチップや、ソフトだけではなくハードと一体化した技術開発等、従来の延長線上にない新しい技術が求められています。

エッジ端末に不可欠な省電力化技術、組み込み技術は日本の得意分野であり、世界と比較しても優位な技術を保有しています。これらの強みと、中小・ベンチャー企業等のアイデアや機動力を掛け合わせて、できる限り早期に社会実装を果たし、社会課題の解決、日本の情報産業の競争力強化に貢献することを目的としています。

次ページからは、プロジェクトリーダーのインタビューと、エッジで学習可能なAIシステム、完全自動運転車、自律制御するドローン、組み込みシステム向けソフトウエアスタック等、AIエッジコンピューティング実現に向け、高いハードルに挑戦した事例を紹介します。

※ポストムーア時代
「半導体の性能が18か月で2倍になる」という経験則に基づくムーアの法則が2020年代に限界を迎えるとされ、次なる半導体技術が求められている時代を指す。

地域監視・インフラ管理

地域の見守りを支援、
安心・安全な街を実現

インフラ点検・雑踏警備

インフラ自動点検、
災害救助支援、雑踏警備

医療・ヘルスケア

迅速で正確な診断、
手術支援、遠隔医療

クラウドからエッジへ
自動運転

いつどこでも必要な移動や
物流サービスを実現

流通業

商品開発、店舗運営、
マーケティング施策の実行

農業

不作リスクを抑え、
採算性と収益を改善

生産工場

機械・設備の予兆保全、
労働者の安全性向上

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