経済の活性化には、「新技術」を競争力とした起業家の育成が重要です。
そこでNEDOは、研究開発型ベンチャーをはじめ、さまざまな角度でスタートアップ支援を実施しており、
その中から、未来に向かって成長を続ける注目のスタートアップ企業を紹介します。
東北大学で発見した
新しい原理の「ボールSAWセンサ」
を応用し、微量水分計、
超小型ガスクロマトグラフを製品化
1999年 | ボールSAW原理の発見と基本特許出願。 |
2014年 | JST CRESTプロジェクト「ボール SAW センサを用いた小型・高速・高感度な微量水分計ユニットの事業化」に採択。 |
2015年 | ボールウェーブ株式会社設立。 |
2017年 | ハイエンド微量水分計「FT-700WT」発表。 |
2019年 | 小型高速微量水分計「FT-300WT」の本格販売を開始。 JAXA Innovation Hubに「多種類の揮発性物質に対する高感度・高精度な可搬型ガスクロマトグラフの開発」に採択。 |
2020年 | NEDO PCAプロジェクト「ボールSAW微量水分計の半導体産業への展開」に採択。 先端半導体向け微量水分計組み込みプロジェクト本格化。 手のひらサイズのボールSAWガスクロマトグラフ「Sylph」の販売開始。 |
2021年 | 2021年NEDO TRYプロジェクト「空気中のウイルスを1分以内に検出するボールSAWセンサの開発」に採択。 |
NEDO支援事業をどのように活用?
まったく新しい原理である「ボールSAW(Surface Acoustic Wave)」を世界で初めてセンサとして応用する「ボールSAWセンサ」を開発、製造しました。その最初の商品であるボールSAW微量水分計「FalconTrace」シリーズを上市しました。微量水分計は極小線幅の次世代半導体製造プロセスの高純度材料ガス中の不純物測定を目的としており、センサ製造の歩留まりの向上を目指す量産設備の開発をNEDO PCAプロジェクトにて行いました。
現在、センサヘッドの防爆認定が取得でき、各所においてテストを実施中です。
ボールウェーブの“その先”とは?
2020年初頭から流行している新型コロナウイルス感染症は、感染者の呼気に乗ってエアロゾルに含まれる多量のウイルスが環境空気中に放出されることで感染が拡大するという、これまでにない制御の困難な新規感染症であることが判明しています。現在、ウイルス検出にはPCR検査や抗原検査が用いられていますが、手間と時間がかかるという難点があります。
ボールウェーブはコア技術であるボールSAWを用いたケミカルセンサにバイオエンジニアリング技術を加えることで、空気中に漂うエアロゾルから直接ウイルスを検出するセンサの開発をNEDO TRYにより着手しています。
NEDO担当者からのコメント
ボールSAWセンサ技術の独自性は非常に高く、着実に実績を積み上げられております。
この技術の応用範囲をさらに広げ、身近な社会問題の解決にも活用されていくことを期待しています。