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CO2の回収・利用の有力な手段、メタネーション技術の実証に臨む

CO2を都市ガスに再利用するメタネーション技術の
早期の社会実装を目指し、システムの大型化に向け開発を実施します。

既存インフラを利用できることが
メタネーションの強み

CO2と水素からメタンを合成するメタネーションは、CO2を「炭素資源」として再利用するカーボンリサイクルの技術の一つです。

NEDOは、これまで2016~2017年に「CO2有効利用可能性調査事業」でメタネーションの技術・事業性等の調査・実験・検討を行い、2017~2021年には、「CO2有効利用技術開発事業」として、その実証を検討してきました。

事業を担当した株式会社INPEXの再生可能エネルギー・新分野事業本部プロジェクトジェネラルマネージャー 若山 樹氏は、これまでの成果について「2021年までのプロジェクトでは、当社の越路原プラントにおいて天然ガスの随伴CO2と、水の電気分解によって作った水素を合成してメタンを生成しました。当初の目標である、合成メタン製造能力8 Nm3/h、合成メタン濃度96%以上、熱回収率85%以上等の目標値をすべて達成して、事業を終了しました」と話します。

2021年度からはその結果を基に、INPEX長岡鉱場内から回収したCO2を用いて合成メタンを製造する技術開発を、2025年度をめどに実施する予定です。

若山氏は「メタネーションはCO2が1に対してメタンが1生産できるため、導入量に応じてCO2を減らすことができ、CO2削減に大きく貢献する技術です」と説明し、また、NEDO環境部 次世代火力・CCUSグループの荒川 純主査は「この技術によって生成したガスは、成分が天然ガスとほぼ同じです。つまり既存の都市ガスの導管や機器といったインフラが、現状のまま使えることが大きな強みです」と普及に向けたメリットについて話します。

メタネーションの試験実施場所

INPEX長岡鉱場越路原プラント全景

大幅なコストダウンを目指し
大規模な実証事業を開始

政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするとしており、火力発電から発生するCO2や天然ガスの随伴CO2を、再生可能エネルギーの電力でメタンに変換して利用するメタネーションは、重要な役割を担っています。

NEDOは今後、合成メタン製造コストの低減、設備の大規模化といった実用化に向けた技術開発に焦点を当て、引き続きINPEXと都市ガスのカーボンニュートラル化に向けたCO2‐メタネーションシステムの事業に取り組んでいきます。

メタネーションの商用化に向けたロードマップでは、2030年すぎに6万Nm3/hの生産量を目指していますが、これは現在の8 Nm3/hの7500倍にあたります。そこで、2021年からのプロジェクトでは、次のステップとして約400 Nm3/hの合成メタン製造能力を目標にしました。これは現時点で世界最大級の規模です。

若山氏はNEDO事業の意義について「カーボンリサイクルは一企業としても喫緊の課題ですが、助成をいただきながら持続可能な社会の構築に参加できるという意味でやりがいを感じています」と話すとともに、今後の課題がコストの低減にあることを指摘します。

「CO2からメタンを製造するためには炭素分子1つに水素分子が4つ必要です。そのため、例えば1kW/hあたり5円の再生可能エネルギー電力で作った1 Nm3あたり25円の水素を使うと、合成メタンの価格は4倍の100円に跳ね上がってしまいます。ビジネスとして成立させるためには、他のプロジェクトともうまく連携して、低コストの再エネ電力と水素を確保することが不可欠だと考えています」

若山氏は、今回のプロジェクトで、商用化した際のコストが試算できるレベルまでFeasibility Study(実施可能性調査)等の精度を高めることも目標の一つと語り、荒川主査は「今回のプロジェクトでは、合成メタンの品質を確認しながら、都市ガスに混合し、需要家へ供給することも検討しています」と、早期の社会実装に向けた抱負を述べました。

CO2‐メタネーションシステムの社会実装イメージ

既存の都市ガスインフラを利用できることがメタネーションのメリット。

メタネーション(8Nm3-CO2/h)の試験設備(2019年8月末撮影)

荒川 純 主査(左)
NEDO環境部
次世代火力・CCUSグループ
プロジェクトマネージャー

若山 樹 氏(右)
株式会社INPEX
再生可能エネルギー・新分野事業本部
プロジェクトジェネラルマネージャー

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