NEDO Web Magazine

特集

カーボンリサイクル窒素循環アンモニア発電プラスチックリサイクル

資源循環社会への道

NEDOは、環境に負荷をかけない真の循環型社会を目指してCO2を資源として活用するカーボンリサイクルをはじめ、廃プラスチックや環境中の反応性窒素の再利用など、広く「資源循環」の実現に向けた技術開発を進めています。

さらに、戦略的な展開によって環境保護とビジネスの好循環を生み出し、持続可能な社会づくりに貢献しようとしています。

カーボンリサイクル

脱炭素社会の実現に向け、カーボンリサイクル技術を開発

CO₂を、多岐にわたる素材や燃料に再利用することで、
大気中への排出量削減を目指しています。

荒川 純

ARAKAWA Jun

NEDO環境部
次世代火力・CCUSグループ 主査
プロジェクトマネージャー

CO2排出量の削減とともに、
資源としての再利用を推進

カーボンリサイクル技術は、火力発電所や工場等で排出される二酸化炭素(CO2)を資源として捉え、これを分離・回収し有効利用することで、大気中へのCO2排出を抑制する技術です。2021年6月に策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」においても、カーボンニュートラル社会を実現するためのキーテクノロジーに位置付けられ、期待が集まっています。

NEDO環境部 次世代火力・CCUSグループの荒川 純主査は「カーボンニュートラル実現には、化石資源の燃焼に伴うCO2の排出を削減することが第一です。しかし、再生可能エネルギーや水素だけですべての化石資源の役割を代替することはまだ難しく、CO2を回収して大気への排出を抑えながら資源として有効利用するリサイクル技術の開発が必要不可欠です」と話します。

NEDOは、カーボンリサイクル技術に関するさまざまな開発を進めています。汎用物質や機能性物質を含む化学品、バイオ燃料や合成燃料等の液体燃料や気体燃料、コンクリートやセメントおよび炭酸塩等の鉱物といった各分野の技術確立に向け、基礎研究、技術開発、実証試験、これらに関連する実証研究拠点の整備に取り組んでいます。

「化学品は、水素を必要としますが、CO2を固定しながら高付加価値品の製造につなげることができます。燃料は、燃焼時のCO₂の発生という課題もあるものの、市場規模が大きく、既存のインフラをそのまま利用できることが大きなメリットでポテンシャルは高いと言えます。鉱物は、CO2の固定化のための有効成分を集め効率的に分離することが課題ですが、長期間の固定化につなげることができ、さらに水素が不要のため、早期の社会実装が見込まれています。いずれにしても市場のニーズと技術の成熟度、CO2削減効果の可能性等を見極めながら、開発を加速したいと考えています」

広く循環型社会の実現に向け、
幅広い技術の可能性を探る

取り組みをさらに推進するため、2021年度も、カーボンリサイクルの各分野に関する研究開発や技術開発のテーマに追加的に取り組んでいます。

「どんな技術からブレークスルーが生まれるか分かりません。そのため現段階では、選択肢を増やしながら、可能性を追求していくことを重視しています。とはいえ、2030年頃から普及させるためには悠長にしてはいられません。有望な技術は早期に実用化し、事業化につなげていくことも重要です」

事業化に向けた大きな課題はコストですが、生産効率、安定性、品質の向上を図りながら、プロセス全体で、できる限りエネルギーを使わず、CO2を排出しないように開発を進めています。また、これらの技術によって生まれた製品を、関連する産業でどう活用できるか、その利用可能性を考えることも課題の一つです。

「それにはビジネスモデル構築のための調査・検討も必要です。どういう事業スキームで、どの技術を、誰に、どう活用してもらうか。技術、事業性、市場の受容度、産業間の連携の可能性なども含め、幅広い観点で取り組んでいます」

カーボンニュートラルの実現は、並大抵の努力では達成できません。CO₂の資源化のためには、製品へ変換する技術だけでなく、排ガスや大気等からCO₂を分離・回収する技術やその輸送技術、共通する基盤技術の研究等も重要です。NEDOは、化石資源の採掘に頼らない持続可能な社会の構築に向けてあらゆる可能性を探っています。

カーボンリサイクル技術の拡大へ