NEDO Web Magazine

プロジェクト事例紹介 CNF利用技術プロジェクト 量産効果が期待されるCNF利用技術の開発

住宅などの内装建材への応用を進め
CNFの新たな用途を拓く

大建工業株式会社/利昌工業株式会社

ドアや床材などの内装建材から補強材までCNFでの代替を目指す。

大建工業株式会社は、利昌工業株式会社が開発したCNFを主とする成形体を利用して、住宅などの内装建材の開発を進めています。

課題はCNFの吸湿性の高さによる寸法の変化でしたが、取り組みの中でブレークスルーのポイントが見つかり、用途に応じた最適化を図る段階にきています。利昌工業開発本部先進材料開発室の奥村浩史室長によれば、CNFは究極の紙素材とのこと。「CNFを成形したときの物性はメーカーによっても異なりますが、材料としての寸法変化を抑える方法が見つかったのは大建工業さんからのフィードバックによるところが大きい」と異業種間連携の効果を話します。

利昌工業がセルロース系の材料に関する長年のノウハウを基に開発したCNF100%の成形板。

大建工業のR&Dセンター入山朋之次長は「利昌工業さんが持つCNF100%の成形体を建材に利用できれば、大量のCNF需要が生まれ原材料のコストダウンにつながります」とプロジェクトの意義を語り、利昌工業の奥村室長は「NEDO事業は、最初に目標と目的を明確にできるため、事業化に真剣に取り組むきっかけにもなっています」と話します。

入山次長は、従来内装に使われてきた木質建材をただCNFに置き換えるだけでなく、CNFの軽量・高強度・高弾性率という特長を生かし、樹脂製品や金属部品などの建材製品もCNFに代替したいという展望を描いています。同社のR&Dセンター開発企画担当の高澤良輔リーダーは「CNFは従来の木質系素材ではなしえない強度があります。それが建材としての新たな付加価値になる」と期待を込めて語りました。

軽量で強いCNF成形板から生まれる高品質・高付加価値の内装建材。

高澤 良輔氏

高澤 良輔
大建工業株式会社
R&Dセンター
開発企画担当 リーダー
博士(生物資源科学)

入山 朋之氏

入山 朋之
大建工業株式会社
R&Dセンター
次長
博士(工学)

奥村 浩史氏

奥村 浩史
利昌工業株式会社
開発本部
先進材料開発室 室長
博士(学術)

技術開発ポイント

CNF100%成形板を利用した付加価値の高い建材の開発で大量の需要を創出

吸湿性の高さをエアフィルタに活用し、
自動車の省エネ化ニーズに対応

進和テック株式会社

水分を吸着し、車外に排出するフィルタシステムを構築。

ビル・工場の空調やプラントなどのエアフィルタを得意とする進和テック株式会社は、CNFの吸湿性の高さに着目し、自動車の窓の曇りを除去するデシカントフィルタシステムの実用化を目指して、プロジェクトに参画しました。同社イノベーション企画部開発グループの奥山一博チーフマネージャーは「このフィルタシステムは、熱による曇り除去よりも省エネ性に優れています。この先EVにシフトしていく乗用車にとって、航続距離を伸ばし、充電回数を減らすためにも省エネ化は必須ですから、そのニーズにも対応しています」と話します。

課題は、CNFの特性を見極めた材料選択でしたが、同じくイノベーション企画部開発グループの小森陽介リーダーは「材料についてはこれまでのNEDO事業で積み重ねてきた産業技術総合研究所と東京工業大学のノウハウに非常に助けられています。試作の段階で出た課題をフィードバックすることで、さらに良い提案を返していただけるのもありがたい」と話します。

試作中のフィルタエレメント。CNFの特性評価を基にフィルタ形状の検討が進んでいる。

このフィルタシステムは車1台に1ユニット必要な上、消耗品でもあるために、継続した需要が見込めることも大きなメリットです。同社にとって自動車分野は未経験の領域だったそうですが、NEDOの助成を受けることで思いきった挑戦ができたと話す奥山チーフマネージャー。今後は、フィルタ形状の最適化と実寸大デモ機による連続運転試験を行う予定で、「安全基準がシビアで、スペースが限られている自動車で成功すれば、いろいろな分野に応用できる」と小森リーダーは展望を語りました。

実験室にはフィルタの試作装置やデシカントフィルタシステムとして評価する試験設備、評価用測定機器が並ぶ。

奥山 一博氏(左)、小森 陽介氏(右)

奥山 一博氏(左)
イノベーション企画部
開発グループ
チーフマネージャー

小森 陽介氏(右)
イノベーション企画部
開発グループ
リーダー

技術開発ポイント

CNFの吸湿性能の高さを、車内空間の湿度調整に利用するという発想

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