NEDO Web Magazine
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「エネルギー・環境問題の解決」と「産業技術力の強化」をミッションに、特にこの10年の間で、社会の変化と共に、どのようなNEDOプロジェクトが行われてきたか振り返ります。


| エネルギー・環境問題と第四次産業革命

 NEDOが設立当初より取り組んできたのは、「エネルギー・環境分野」です。再生可能エネルギーや水素・燃料電池といった技術開発をリードし、成果を社会に届けてきました。また、系統連系やスマートコミュニティ、蓄電池などの新分野を開拓し、日本が得意としてきた省エネルギー技術の開発や、カーボンリサイクル技術などの環境技術も推進してきました。
 1988年から追加された「産業技術分野」の技術開発については、2010年代半ばから超スマート社会の実現を目指す「Society 5.0」に向け、IoTやAI、ロボティクスといった分野を推進、社会実装を後押ししています。
  また、エネルギー・環境問題をグローバルに解決するため、NEDOは海外での実証事業にも力を入れてきました。相手国との信頼関係を築きながら、日本の技術をいち早く世界に届けることにより、世界の課題解決に貢献してきました。さらに、オープンイノベーションの鍵を握る「スタートアップ支援」も、この10年の中で力を入れてきた取り組みです。これらの成果を次の時代につなげていくために、この10年間に行ったNEDOプロジェクトの足跡の一部を紹介します。

2013図 災害対応支援ロボット成果発表

ライフライン維持管理の重要性も再認識

 元々、建設現場や極限状態での作業を目的にNEDOが開発を推進してきたロボットが東日本大震災で活用され、人が対応困難な場所で活躍するロボットに社会の関心が高まりました。2011年度から「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」を実施し、2013年に成果を披露しました。また、震災などで重要性が再認識されたライフラインの維持管理や災害対応に向けて、「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」を2014年度に開始しています。

ロボット写真


2014図 水素ステーションの商用運用が開始

燃料電池自動車の普及を後押し

 元々、建設現場や極限状態での作業を目的にNEDOが開発を推進してきたロボットが東日本大震災で活用され、人が対応困難な場所で活躍するロボットに社会の関心が高まりました。2011年度から「災害対応無人化システム研究開発プロジェクト」を実施し、2013年に成果を披露しました。また、震災などで重要性が再認識されたライフラインの維持管理や災害対応に向けて、「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」を2014年度に開始しています。

水素ステーション写真


2016図 カリフォルニアでEV行動範囲拡大実証開始

急速充電器、充電ナビアプリでEV利用促進

 2025年までに150万台のZero Emission Vehicleを目指す米国カリフォルニア州と連携し、NEDOは自動車メーカーと商社による電気自動車(EV)の行動範囲拡大実証事業を2015年度から開始しました。本事業ではスマートフォンによるアプリで、充電器の位置・使用状況検索やその充電予約、最適な充電器への誘導サービスなど、EVユーザーに必要なリアルタイムな情報を提供することによって、EVの利用拡大を実証し、日米でのEV普及につながることが期待されています。

急速充電の写真


2017図 セルロースナノファイバー量産工場稼働

バイオマス由来なものづくりを実現

 近年、注目を集めるセルロースナノファイバー(CNF)について、NEDOプロジェクトの成果を基に、日本製紙(株)は石巻工場(宮城県石巻市)にCNFを年間500トン生産可能な世界最大級の量産設備を完成させ、稼働を開始しました。ほかにもNEDOは、2009年度から「グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発」、2013年度から「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発」を行い、CNFの実用化を後押ししています。

CNF工場の写真


2018図 小型 CMOSアニーリングマシンを開発

次世代コンピューティング技術の推進

 情報処理技術の進化に伴い、サーバーの消費電力増大などの課題に対し、消費電力が小さく、小型で常温での動作が可能な世界最小名刺サイズのCMOSアニーリングマシンを開発しました。ほかにも量子アニーリングなど次世代コンピューティング技術を開発する「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」を2016年度から進め、日本の情報産業のさらなる発展に向け研究開発を推進しています。

CMOSアニーリングマシンのの写真


文字2図

2018図 全固体リチウムイオン電池プロジェクト第2期を開始

重要性を増す蓄電池の技術開発

 NEDOは設立当初から蓄電池の技術開発を推進していますが、定置用蓄電システムと自動車用蓄電池に加え、2010年度からは新たに蓄電池材料評価技術開発にも取り組んでいます。中でも特にEV向けの次世代蓄電池として期待が高まる全固体リチウムイオン電池の開発に向け、産学連携で自動車・蓄電池・材料メーカーなど24社の研究者・エンジニアが結集し、「先進・革新蓄電池材料評価技術開発」の第2期が2018年度にスタートしました。

PJ集合写真


2019図 福島ロボットテストフィールドで無人航空機の運航管理システム試験を実施

空の産業革命実現に向けた布石

 ドローンが空を飛び交う時代に備え、NEDOは2017年度から「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」を開始し、ドローンの衝突回避システムや運航管理システムなどの開発を推進しています。2019年には、計29事業者が参画して運航管理システムの相互接続試験を行いました。こうした試験や人材育成には、福島県や福島県南相馬市と協定を締結して福島ロボットテストフィールド(RTF)を活用し、地域の産業振興にも貢献しています。

RTFの写真


2019図 北九州市沖で浮体式洋上風力発電システム実証運転を開始

エネルギーミックスの鍵を握る

 NEDOは、2009年度から本格的に洋上風力発電に取り組み、まずは着床式洋上風力発電の普及に必要な実証を行ってきました。その後2014年度からはコスト競争力のある浮体式洋上風力発電システムの開発にも取り組んでいます。「第5次エネルギー基本計画」において再生可能エネルギーが将来の主力電源化を目指している中、2019年5月からは北九州市沖でバージ型浮体式洋上風力発電システムの実証を進めています。

浮体式風車の写真


2019図 CO2を有効利用するメタン合成試験設備が完成

CO2を資源とするカーボンリサイクル

 「パリ協定」実現に向けたさらなる革新的技術として、排出されたCO2を資源と捉え、炭素を循環させて活用する「カーボンリサイクル」を実現するためのプロジェクトが始まっています。NEDOはCO₂と水素を反応させてメタンを合成するメタネーションの開発などの実証に取り組み、2019年10月に、CO2水素からメタンを合成する試験設備を新潟県長岡市に完成させました。今後、より商用化に近い形で設備の建設、実証を進めていきます。

メタン合成試験設備の写真


2020図 福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)開所

水素エネルギーの社会利用を加速

 「水素社会」の実現に向けて、NEDOは太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの電力と水の電気分解を組み合わせてCO2フリー水素を供給するパワー・ツー・ガス(P2G)の技術開発を開始しました。福島県浪江町に太陽光発電を利用した世界最大級となる10MWの水素製造装置を備えた水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」を建設、2020年3月に稼働を開始し、P2Gの実証を本格化させています。

FH2R写真


2020図 「ムーンショット型研究開発事業」の研究開発を開始

地球環境再生に向けた新たな挑戦

 日本発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を推進するため、国は「ムーンショット型研究開発制度」を創設しました。NEDOは、ムーンショット目標4「2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現」の達成に向け、大気中のCO2を直接回収(DAC)して資源に転換する技術や、海洋で適切なタイミングとスピードで生分解するプラスチックの開発など、挑戦的な研究開発を開始しています。

MoonShot概念図

持続可能な資源循環の実現に向けて取り組む研究開発