生分解のタイミングやスピードをコントロールする海洋生分解性プラスチックの開発
海洋に流出し社会問題となっているプラスチックごみ問題の対策としては、プラスチックの回収のほか、海洋に流出しても環境に与える影響が少ない海洋生分解性プラスチックの開発が挙げられます。生分解性を有するプラスチックはこれまでも開発されてきましたが、分解開始時期と速度が十分に制御されておらず、また、耐久性も十分でないことが、実用化と普及に向けた課題の一つとなっています。
ムーンショット型研究開発事業では、プラスチックが海洋に流出した際に適切に分解されるよう、生分解のタイミングやスピードを制御するスイッチ機能を有し、かつ十分な耐久性を有する海洋生分解性プラスチックの開発を行います。
非可食性バイオマスを原料とした海洋分解可能なマルチロック型バイオポリマーの研究開発
伊藤 耕三 氏
東京大学大学院 新領域創成科学研究科
教授
■ポリマーの分解性と耐久性・強靭性のトレードオフ関係を打破
■マルチロック型機構注10により、使用中は高耐久性を実現、誤って海洋に流出した際にはオンデマンド分解
■非可食バイオマスを原料として生産
東京大学、三菱ケミカル株式会社、株式会社ブリヂストン、帝人株式会社、株式会社クレハ、
九州大学、名古屋大学、山形大学、公益財団法人地球環境産業技術研究機構、
産業技術総合研究所、愛媛大学、東京工業大学
注10 分解の際に、光、熱、酸素、水、酵素、微生物、触媒など複数の刺激を同時に必要とする仕組み
生分解開始スイッチ機能を有する海洋分解性プラスチックの研究開発
粕谷 健一 氏
群馬大学大学院 理工学府
教授
■生分解開始時期と生分解速度の制御技術を開発
■海洋生分解性(30℃の海水、半年で90%)を海洋で検証
■バイオマス、CO2主原料の海洋生分解性ポリマー創出
群馬大学、東京大学、東京工業大学、理化学研究所、海洋研究開発機構
光スイッチ型海洋分解性の可食プラスチックの開発研究
金子 達雄 氏
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科
教授
■強い太陽光と水で生分解が始まるON型光スイッチ機能
■海中・海底などの暗所で生分解が始まるOFF型光スイッチ機能
■両機能を組み込んだ可食化海洋生分解性プラスチック製品の開発
北陸先端科学技術大学院大学、神戸大学、名古屋大学、鹿児島大学、東京理科大学、
東京農工大学、産業技術総合研究所、大阪産業技術研究所