株式会社Epsilon Molecular Engineering
代表取締役社長 根本 直人 さん
VHH抗体又は環状ペプチドを基盤とする新世代バイオ医薬品シーズ創出共同研究事業・ライセンシング
2017年 NEDO「シード期の研究開発型ベンチャーに対する事業化支援(STS)」に採択。
2018年 三菱UFJ技術育成財団「平成30年度 第1回研究開発助成金」に採択。
2019年 (株)リバネス「リアルテックベンチャー・オブ・ザ・イヤー2019 スタートアップ部門」受賞。
2020年 中小企業庁「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」に採択。
Q1. NEDO支援事業をどのように活用?
当社は進化分子工学の高速進化技術で、ペプチドやタンパク質の機能を目的に合わせて自在に分子デザインする会社です。これが「未来の分子を創造する」というミッションにつながります。現在、当社は未来の分子として、従来の医薬品とは一線を画する新しいモダリティを持つバイオ医薬品の開発に注力しています。
具体的には、次世代抗体として知られるラクダ科一本鎖重鎖抗体(VHH抗体:ナノボディともいう)の高速進化システムを構築して、従来の抗体が苦手とするGタンパク質共役受容体(GPCR)等の膜タンパク質を狙うことができるVHH抗体をデザインすることを目標としました。しかし、この高速システムの構築には少なくとも1億円弱の予算が必要ということがわかり、その時にNEDOのSTS制度を知り、採択されたことで、このシステムを構築することができました。
「イノベーション・ジャパン2018」のNEDOピッチブースでのプレゼンの様子
Q2. Epsilon Molecular Engineeringの“その先”とは?
システムが完成したことで、従来技術の1万倍程度の効率でスクリーニングが可能になり、共同研究や自社開発パイプラインを並行して進めることが可能になりました。また、膜タンパク質をナノディスクに埋め込み、スクリーニングできるようになったため、より重要な創薬ターゲットに対してVHH抗体を作ることができるようになりました。最近では花王(株)、北里大学と共同で新型コロナウイルスに対して感染を阻害するVHH抗体を2020年5月ごろに作製し、発表しました。今後は複数の画期的なバイオ医薬品開発と同時に、新しいバイオ機能分子が求められる新市場を、世界に先駆けて開拓する企業を目指していきます。
研究開発風景
NEDO担当者からのコメント
埼玉大学発ベンチャーの同社は、NEDO事業で開発した革新的なスクリーニング技術を駆使して、アンメットメディカルニーズの高い新たな抗体医薬品の開発にますます挑戦していくことが期待され、今後も目が離せません!