特集2
実用化が加速!
環境に優しいスマートセル技術
植物や微生物が持つ物質生産能力を最大限引き出した細胞「スマートセル」を使い、環境に優しい産業「スマートセルインダストリー」の実現を目指すNEDOのスマートセルプロジェクト。その5年間にわたる技術開発成果とその応用事例が多数創出されています。医療の発展や持続可能な社会づくりにも貢献できる、注目のスマートセルプロジェクトの成果をご紹介します。
情報技術を活用して高性能な細胞を作出
気候変動や資源枯渇等の地球規模の問題解決と経済発展を共存させる取り組みの一環として、NEDOはバイオエコノミーの創出と炭素循環社会の実現を目指し、2016~2020年度の5年間にわたり「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発」事業(スマートセルプロジェクト)を推進してきました。
このプロジェクトでは植物や微生物の細胞内の生物機能をデザインし、その新たなデザインに基づいて機能発現を制御することによって、細胞を物質生産工場のように機能させる技術を開発しています。具体的には、合理的な設計を可能とする情報解析技術、産業界で活用しやすい国産ゲノム編集技術、そして物質生産能力を最大化する発現制御技術です。
植物の分野では、ゲノム編集技術の開発や栽培・生育環境の制御技術が進展し、従来は化学合成していた物質や微量しか採取できなかった植物由来物質の効率的な生産が可能になると期待されます。また、微生物の分野では情報解析技術を活用した「DBTL(Design=設計、Build=構築、Test=評価、Learn=学習)サイクル」を開発。実験データを活用して、新規化合物の生産や有用化合物の生産性向上、機能向上といった課題解決につなげていくことができます。
NEDO材料・ナノテクノロジー部バイオエコノミー推進室(後列左から)
高槻 賢一 専門調査員 土谷 浩史 主査 伊藤 雅人 専門調査員 金田 晃一 主査 林 智佳子 PM・主査 秋葉 幸範 専門調査員