NEDO Web Magazine
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『オープンイノベーション白書』で読み解く
イノベーション創出の今と未来

産学官の枠組みを越えたオープンイノベーションに期待が寄せられています。
人々の生活を豊かにし、産業構造に大きな変化をもたらすイノベーションは、どうすれば起こすことができるのでしょうか。日本が抱える課題や今後取り組むべきことを考えていきます。

 About  『オープンイノベーション白書』とは

 NEDOは、国内産業のイノベーションの創出および共創の強化に寄与する活動を行うオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)と共に、『オープンイノベーション白書』を発行しています。
 第三版ではイノベーションの本質に立ち返り、オープンイノベーションの意義を整理し、イノベーションをどのように創出していくのかを、事実と推論に基づき取りまとめました。

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世界を席巻するイノベーションを起こすには

 「オープンイノベーションはイノベーション創出のために有効」という認識が広がり、日本でも多くの企業が取り組みを進めています。一方で、社会の変化に伴い、世界における日本発のイノベーションには、大きな課題があります。
 そこでNEDOとJOICは、『オープンイノベーション白書』第三版で、オープンイノベーションを考える前に、そもそもの前提であるイノベーションについて正しく理解するという本質に立ち返り、整理を進めました。
 その上で、「日本がイノベーションを創出するためには何を考え、何をしなければならないか」という方策を抽出。日本においてイノベーション創出を目指す各主体に対し、取り組み検討のための材料を示すことを狙いとしています。

第三版の要点をCHECK

  • ・イノベーションの歴史的経緯から「イノベーションとは何か」「どう創出されるのか」を改めて整理。
  • ・世界的な市況や日本の状況と共に「日本のイノベーション創出の現状」を分析。
  • ・日本企業がイノベーションを創出するために「今何をすべきか」を確認。

◆JOICホームページ

JOICの詳細、および最近の活動についてはこちらから。

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NEDOイノベーション推進部 スタートアップグループ(後列左から)
橋詰 忠昭 主査 青木 根玄 主査 東 昌男 主査 川原 信広 専門調査員 原 和彦 専門調査員
※本撮影は新型コロナウイルス感染症対策に配慮し、撮影の瞬間以外はマスクを着用しています。

時代とともに変わりゆく「イノベーション」とは

 イノベーションは「改革、革新」という意味の単語ですが、それにとどまらない使われ方がなされるようになり、20世紀から21世紀にかけてイノベーションの定義の議論が活発に交わされました。
 また、かつては製品の発明そのものや生産システムの開発がイノベーションになり得ましたが、現在はデジタルを活用したグローバルなサービスへとイノベーション創出のパターンも変化しています。

市場・プレーヤー共に変化

 社会や市場環境、業界動向の変化等の影響を受けて、イノベーションと認識される価値の創出パターンは異なります。産業革命の影響が色濃い20世紀前半は「発明牽引型」、経済発展の著しい20世紀後半は「普及・展開型」、グローバルに市場が広がる「21世紀型」の3種類に類型化できます。

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Q 製品・サービスやその提供プロセスが革新的であれば、全ての成果はイノベーションだと言えますか?

A技術や発明による新しい製品・サービスや、その実現手段の革新性だけでは、イノベーションとは言えません。
世の中には、これまでにない新しい価値を提供する発明品、製品・サービスは多数存在しているものの、イノベーションと呼ぶには、社会もしくは市場に対し変化をもたらすOutcomeをより考慮する必要があります。

イノベーション創出の鍵は「オープンイノベーション」「イノベーション」とは

 「生み出された製品・サービスによる市場・社会への影響」(Outcome)で求められるのは、売り方(マーケティングや流通方法)や売り先(顧客やユーザー)に対する「真のニーズに応える価値提供」です。それが「市場や社会によって受け入れられ、活用されるか否か」が鍵となります。
そこで有効な手段の一つとなるのが「オープンイノベーション」です。

改めて「オープンイノベーション」とは

 内部・外部のリソースを有効活用し、イノベーションを効率的に創出するアプローチのこと。効果的に取り入れるには、ただ外部と連携するのではなく、企業の方向性や成し遂げたいこと、つまり「ビジョン」を持つことが重要です。オープンイノベーションは「実現したい価値を創出する」ための手段の一つ。その効能や必要性は業界によっても異なると推測され、必ずしも最良の策となるとは限りません。業界や製品・サービスの特性、必要な戦略やリソースといった多面的な要素を考えた上で進めるか否かを判断する必要があります。

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