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NEDO Challengeのコンテストから垣間見る、1次審査通過者が衛星データ活用で挑む農林水産業の課題

2025年10月24日、NEDOは懸賞金活用型プログラム「NEDO Challenge, Satellite Data -農林水産業を衛星データでアップデート!-」の第1回ワークショップを東京・日本橋の宇宙ビジネス共創拠点「X-NIHONBASHI TOWER」にて開催しました。

「NEDO Challenge, Satellite Data -農林水産業を衛星データでアップデート!-」 は、2024年度の「NEDO Challenge, Satellite Data for Green Earth」に続く2回目の衛星データ活用プログラムです。自らも農業スタートアップに関わるタレントの村上信五さん(SUPER EIGHT)がアンバサダーを務めます。

募集テーマは「テーマ1:生産現場の課題解決に資する技術開発」と「テーマ2:資源の管理・監視および物流の高度化に資する技術開発」の2つ。2025年5月16日〜7月31日まで応募期間を設け、応募総数59件の中から2025年10月1日に各テーマ6チーム、合計12チームの1次審査通過者が決定しました。本ワークショップはプログラムの1次審査通過者を対象としたキックオフ&ネットワーキングの位置づけで、会場だけでなくオンラインを含め多くの人が参加しました。

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盛況だった会場の様子

メンタリングや人的交流も厚いNEDOならではのプログラム

キックオフを皮切りに、今後は2026年5月中旬にかけてシステム開発およびメンタリングを実施します。合同ワークショップは6回程度開催予定で、そのうち2回はネットワーキングを開いて人的交流支援を図ります。個別メンタリングは個々の研究開発に即して技術と事業化の側面から毎月開催。さらに必要に応じて共同研究先の紹介、あるいは宇宙、農林水産関連コミュニティとの意見交換の場を設けるなど、NEDOによる手厚いサポートが大きな特徴です。

2026年7月15日にはピッチコンテスト形式による2次審査を行い、各テーマで1位〜3位、審査委員特別賞を決定。1位は1000万円、2位は500万円、3位は300万円、審査委員特別賞は100万円の懸賞金を獲得します。並行して開催する「衛星データ活用アワード」では事業化を目指す企業、個人、学生、異業種などから“ビジネスの種”となるアイデアを幅広く募り、最優秀賞には300万円、審査委員特別賞には10万円が、スポンサーである農林中央金庫から贈られます。

スタートアップから大企業まで幅広い知恵が集結

冒頭、NEDO 航空・宇宙部 宇宙産業チームの酒井謙二専門調査員が登壇。「本日のワークショップから何らかの気づきを得るとともに、今後の開発と事業化に向けた取り組みに活かしていただきたい」とエールを贈りました。

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NEDO 航空・宇宙部 宇宙産業チーム 酒井謙二専門調査員

続いてゲストの経済産業省、農林水産省、農林中央金庫が登壇。経産省は日本における宇宙産業の重要性、農水省は農林水産業が抱える課題と衛星データの活用事例、農林中金は次世代を担う農業ビジネスへの投資について講演し、1次審査通過者への熱い期待を語りました。

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左から経済産業省 製造産業局 宇宙産業課 課長 高濱航氏
農林水産省 大臣官房 政策課 技術政策室室長 阿部尚人氏
農林中央金庫 事業戦略投資部 高橋安芸介氏

ワークショップの後半では全チームが自己紹介と開発予定の技術紹介のショートピッチを行いました。昨年設立したスタートアップから大企業まで実にさまざまな顔ぶれとなったことが本プログラムの門戸の広さを物語っています。以下、いくつかピックアップして紹介していきます。

テーマ1:生産現場の課題解決に資する技術開発

テーマ1 では、2024年設立のPenguin Labsが世界中の気象データを活用して栽培適地を分析するサービスを構想。気候変動のリスクをチャンスへ転換することを目的に「TWINZ Plus」の名称で展開していく予定です。

キリンホールディングスは衛星データのリモートセンシング、圃場データ、成分分析を組み合わせて土地の個性=「テロワール」を可視化。まずは親和性の高いワイン用ブドウを対象に、品種の適地評価、環境の将来予測、農地管理の効率化といったサービスを開発し、国内ワイナリー事業の支援、日本ワイン市場の活性化、新たな価値創出を目指します。

水産大手の極洋はスマート水産養殖に着手。分子生態情報と海洋データを統合した魚病早期発見システムの開発により、従来の事後対処的な魚病対策から、病気の発生を事前に予測し予防するアプローチへの転換を図ります。水産養殖業の生産効率向上、魚の安定供給、国内外の競争力強化、世界的なタンパク質需要への貢献が目的です。

テーマ2:資源の管理・監視および物流の高度化に資する技術開発

テーマ2では、設立1年半のスターフィールドが「衛星データを活用した放置竹林問題解決プロジェクト」を発表。全国で広がる竹害を阻止するため、衛星データを用いて竹林の位置情報と面積を高精度に取得するアプリを開発します。伐採後の竹の資源化を推進し、サプライチェーンを構築する段階まで踏み込む計画で、対象地域は竹害が多い群馬県西部地域としました。

富士通は前回の「NEDO Challenge, Satellite Data for Green Earth」、懸賞金活用型プログラムの前身となる「NEDO Supply Chain Data Challenge」で過去2回にわたり1位を獲得しています。今回の応募では「食料レジリエンス・アトラス」と題した食の安全保障プラットフォームを提案。日本の生産・輸入・消費の流れを衛星データ×因果AIによる組み合わせで可視化し、有事における食料供給の脆弱性を定量的に把握・対処する仕組みの構築に挑みます。

福井県に本社を構えるスタートアップのフィッシュパスは、環境DNAと衛星データをかけ合わせて河川資源のデジタル管理システムを構築します。コア事業は全国の川や湖を管理する内水面漁業協同組合と提携した遊漁券のデジタル販売ですが、漁業者から「魚の実態が見えてこない」という課題が明らかになったことが発端です。分析したデータをダッシュボード化し、誰もが一目で魚の実態を把握できる「生物多様性DX」を目指しています。

ピッチ後には参加者が集まって記念撮影を行い、そのまま充実したネットワーキングが始まりました。会場のあちらこちらで会話に花が咲き、それぞれが親睦を深めていました。こうした交流も懸賞金活用型プログラムの醍醐味の1つ。スタートを切ったばかりですが、早くも来年の最終選考会が楽しみです。

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参加者による集合写真

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