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人工知能技術適用によるスマート社会の実現

「人工知能技術適用によるスマート社会の実現」プロジェクトの2021年度までの取組みについて、プロジェクト全体と11の委託先テーマ毎に分かり易く説明します。
推進されている方々が、現状の課題、目指す未来などについて自らの言葉で語っている動画のご紹介になります。
3つの重点分野ごとシリーズに分けて掲載、お届けいたします。今回は「健康、医療・介護」編です。

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~「健康、医療・介護」編の動画をご紹介~


人工知能による脳卒中予防システムの開発・実用化

【背景と狙い】血管が詰まったり、破れたりして発生する病気を総称する脳卒中の中でも、脳動脈瘤の破裂によって発生するくも膜下出血は、発症すると高確率で死亡や後遺症を残すなど、重篤な状態に陥ることが多いです。脳動脈瘤破裂のメカニズムは解明されておらず、現状では破裂を予測できませんが、数値流体力学(CFD:Computational Fluid Dynamics)により取得した脳血流解析情報や脳動脈瘤の形態学的情報(Morphology)等からなる工学情報、及び患者の医療情報(Patient Information)に対する学習をもとに破裂を予測できるようになる可能性があります。

本研究開発では脳動脈瘤に対する工学情報の取得、並びに工学情報と臨床情報から脳動脈瘤破裂リスクを判定可能なAI 解析が可能で、臨床現場でも使用可能な一体型システムの構築を行います。これにより、個々の脳動脈瘤に対して破裂リスクに基づいた適切な治療計画の立案を行えるようになる可能性があります。


健康長寿を楽しむスマートソサエティ・主体性のあるスキルアップを促進する AI スマートコーチング技術の開発

【背景と狙い】効果的・効率的なリハビリやトレーニングのためには、個人スキルの把握、スキルに応じた難易度の設定、エンタテイメント性のあるトレーニング支援技術が必要です。

そこで本研究開発では、「意識させない計測」「運動能力の推定とデータ蓄積」「トレーニング難易度への反映」をループさせる、AI を使った新しいデータヘルスケアのしくみを構築することで、施設だけでなく、遠隔や自宅におけるリハビリやトレーニングの質向上と医療介護費の削減を目指すとともに、主体性のあるスキルアップをサポートして健康長寿を楽しむスマートソサエティの実現を目指します。


人工知能支援による分子標的薬創出プラットフォームの研究開発

【背景と狙い】様々な分野で活躍しているタンパク質は20種類のアミノ酸が脱水縮合したポリマーであり、アミノ酸配列が取り得る「場合の数(配列空間)」が膨大で、労力・時間・コストをかけても目的機能をもつアミノ酸配列を見つけることが難しいのが現状です。

本研究開発では、タンパク質をベースとした分子標的薬の開発を中心に、人工知能技術を利用することによって、幅広い機能タンパク質を迅速・確実に設計できる技術を開発します。そして、生体実験までに費やす労力・時間・コストを低減させることで、機能タンパク質の利用拡大を目指します。


新薬開発を効率化・加速する製剤処方設計 AI の開発

【背景と狙い】製薬産業が抱える課題として、創薬プロセス後期の開発コストが膨大(約1,000億円)であり、後期プロセスにおける失敗数は比較的少ないが、失敗すると経営に致命的な打撃を与えてしまうリスクがあります。後期プロセスにおける医薬品化合物の処方設計は、原薬(有効成分)の有効性、安全性、品質・生産効率を高次にバランスさせる作業であり、従来は研究者の知識、経験知に依存してきました。

そこで本研究開発では、AI による合理的な製剤処方設計を実現し、製薬会社等の産業界が各種AI、DB を利用することを目指し、非常に多岐に渡る項目を考慮する必要がありますが、現場研究開発者の勘と経験依存している製剤プロセスの高度化に貢献することを目指します。

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