大阪工業大学に「バイオものづくりセンター」を開設
新規参入企業の人材育成とバイオプロセス開発を後押し
2026年6月2日、大阪市旭区の大阪工業大学・大宮キャンパスで「バイオものづくりセンター」の開所式が開催され、大勢の来賓が新たな拠点の門出を祝いました。
開所式でのテープカットの様子。左から順に、バイオインダストリー協会 田中専務理事、NEDO 林理事、経済産業省近畿経済産業局地域経済部 大平次長、常翔学園 西村理事長、大阪工業大学 井上学長、大阪府商工労働部 東口部長、千葉大学 関名誉教授・プロジェクトリーダー、バイオものづくりセンター 長森センター長
近年、産業界では大気中の二酸化炭素(CO2)の削減や炭素循環型社会の実現といった社会課題の解決と、持続的な経済成長の両立が求められています。こうした中、バイオマス資源から植物や微生物などの生物を用いて物質を生産する「バイオものづくり」に注目が集まっています。
バイオものづくりセンターは、2021年から大宮キャンパスで稼働してきた「バイオものづくりラボ」を発展的に改組した大阪工業大学の組織です。前身のバイオものづくりラボは、NEDOが2020年度〜2026年度まで実施中の「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」事業(通称、NEDOバイオものづくりプロジェクト)で構築した研究開発拠点の1つ。0.25L~30Lまでの比較的小規模の培養槽を設置しており、バイオものづくり分野の新規参入企業をターゲットに、これまで30社以上の培養条件の最適化・小規模試作支援、約150社400人以上の人材育成など、多くの実績を積み重ねてきました。
これまでの成果を踏まえて、大阪工業大学はバイオものづくりラボの機能を強化するために、3階建ての専用建屋であるバイオものづくりセンターを新設しました。NEDOバイオものづくりプロジェクトの取り組みとして、90Lスケールまでの種々の培養設備をはじめ、ラボスケールから工業スケールに展開する際に必要となる微生物培養からバイオ生産物の分離精製までの一貫したプロセスの条件検討、小規模の試作実証を実施できる環境を整備しました。また、バイオものづくり分野の人材育成や、本分野への新規参入者と国内の高度な専門研究開発拠点をつなぐ、橋渡し役も担います。
大阪工業大学「バイオものづくりセンター」の外観
開所式でNEDOの林理事は、大阪工業大学が組織としてバイオものづくりセンターを構築した熱意に改めて感謝の意を述べました。「NEDOは2026年度末の事業終了までにバイオプロセス開発に必要な要素技術の開発を進めるとともに、事業終了後も大阪工業大学と連携を図りながら日本のバイオエコノミーの発展に貢献していきます」と挨拶しました。
NEDOの林理事
充実した設備で画期的なイノベーションに期待
バイオものづくりセンターの1階は、比較的大型の培養設備・分離精製設備を設置。2階にラボスケールのミニジャーや分析設備を備えます。3階にはオフィス機能を設けており、シェアワークスペースやWeb会議ブース・会議室などがあります。
1階の実証培養・分離精製ゾーンに設置している培養装置。左が今回のセンター開所に伴い新たに導入した90Lスケールの培養槽。右は30Lスケールの培養槽
2階には、0.25Lや1Lの培養槽や分析設備がずらりと並ぶ
これらの設備を用いて、実技を含む人材育成講座(NEDO特別講座)、生産プロセス開発支援・OJT教育を行うのが特徴です。バイオものづくりセンターには企業現場の実務を知る熟練の技術者が在籍しており、手厚いサポートを受けることができます。
開所式に続いて実施された記念講演会には、80人以上の参加者が詰めかけました。バイオものづくりセンター長の長森英二氏、千葉大学名誉教授・プロジェクトリーダーの関実氏らが講演を行いました。
記念講演会での長森センター長によるバイオものづくりセンターの紹介の様子
関氏は、「今後、バイオ分野の破壊的なイノベーションにより、バイオものづくりに関連する極めて大きな市場が誕生すると見られています。大阪工業大学の『バイオものづくりセンター』には、全国のバイオものづくり研究開発拠点のハブになってもらいたいと考えています。新規参入者は、まずは大阪工業大学に相談に来て、必要に応じて、全国の専門研究開発拠点との連携も進めていただきたいです」と述べ、本センターが社会実装の架け橋になることに期待を寄せました。