Focus NEDO

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

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【88】眠れるAIデータ共有へ(2026年8月26日紙面掲載分)

‟燃料”が枯渇

AI(人工知能)は日々メディアなどを賑わせているが、その話題の多くはAIの性能であるソフトウエアや半導体などのハードウエアに集中しており、AIを支えるデータの重要性は十分に語られていないと感じている。AIを車のエンジンに例えるなら、データはその燃料に当たる。多くのAIサービスは、インターネット上の公開データを中心に学習し発展してきたが、データが枯渇し、既に限界が来ていると言われている。また、インターネット上のデータの信ぴょう性についても問題視される事例が度々発生している。

半数超が未活用

一方、世界中で取り扱われているデータの半数以上は企業が抱えるエンタープライズデータと言われ、ここにAIが未活用の現場のリアルなデータが眠っている。AIが浸透すればするほど、データの信頼性やさらなるデータ利活用の重要性が高まりつつある。そういった背景も踏まえ、経済産業省は、「ウラノス・エコシステム」と称した企業や業界、国境をまたぐ横断的なデータマネジメントのイニシアティブを推進しており、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ではその取り組みの一環として蓄電池分野や化学物質分野をユースケースとした実証・実装を行っている。

主な要素技術は「データスペース」であり、「Open Data Spaces(ODS)」という形でとりまとめられ、オープンソースで公開されている。ODSの技術コンセプトはオープンでスケーラブルな分散型データマネジメントとなっており、主要なポイントとして、トレーサビリティ・分散型・コンテキスト・オントロジーなどが挙げられる。エンタープライズデータを対応させることで、エンタープライズにおけるAI対応が促進されるだけでなく、Agentic AIへの柔軟な対応も可能となる。

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世界中で創出・取得・複製・消費される年間のデータ量

価値を最大化

集中型から分散型へ、囲い込みから共有へ、人間中心からAI中心へ。ODSの技術コンセプトを実行していくことで、今あるデータはその価値を最大化できる可能性を秘めている。すぐそこまで来ているAgentic AI時代に向けて、まずは皆さまの身近なデータのあり方を見直す必要性が高まっている。AIの導入促進に合わせて、データのあり方についていま一度見直してみてはいかがだろうか。

10月に開催予定の「CEATEC2026」では、サービサー・ユーザーそれぞれの立場から「データスペース」の現在地と今後についての説明やクロストークを行う予定である。興味のある方は、ぜひ足を運んでいただきたい。

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NEDO
半導体・情報インフラ部
デジタルプラットフォームチーム 主査
加藤 輝男(かとう てるお)
千葉工業大学卒業。電気通信事業者にて保全・建設業務従事の後、設備管理システムを立ち上げから主導。システム構築やシステム統制・他社連携を含むデータマネジメント業務に従事し、2025年から現職。「ウラノス・エコシステムの実現のためのデータ連携システム構築・実証事業」のプロジェクトマネージャー。

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