Focus NEDO

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

img_nikkan_Page_Hedder_250806.png

【80】都市鉱山で資源確保(2026年6月24日紙面掲載分)

深刻な環境問題

国際的な資源需要の増大に加え、地球温暖化をはじめとする環境問題が深刻化する中、資源の大半を海外に依存する日本では廃製品の有効活用がこれまで以上に求められている。

これを背景に、リデュース、リユース、リサイクルに代表される資源循環を支える技術開発が一層注目されている。

そこで、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、資源循環に関する技術戦略を策定し、金属やプラスチックなどの資源循環を実現する技術開発とその社会実装に取り組んでいる。その一つが「高度循環型システム構築に向けた廃電気・電子機器処理プロセス基盤技術開発」だ。

img_nikkan_260624_Fig_CircularSystem_4.png

「高度循環型システム構築に向けた廃電気・電子機器処理プロセス基盤技術開発」の概要

自動で分類

リサイクル工場に搬入される廃電気製品は、廃棄時に一定の分別が行われているものの、リサイクルには十分とは言えない。このため、搬入後の分類作業が必要だが多くを人手に頼っている。安全面の課題も大きい。この解決に向け、東京理科大学などのグループは、搬入された廃電気製品置場を自走し、ピックアップから識別・分類、運搬まで自動で行う装置の開発を進めている。

多くの電気製品にはリチウムイオン電池(LiB)が使用されており、リサイクルの現場では電池を原因とする火災も大きな課題となっている。電池を確実に分離する技術、そして、含まれる資源をムダなく回収する破砕・選別技術は不可欠だ。産業技術総合研究所などのグループは、これらの技術を統合したモデルプラントを構築した。現在、連続運転を行いながら、処理対象物の拡大と処理技術の高度化に取り組んでいる。

製品設計に反映

パナソニックホールディングスなどのグループは、リマニュファクチャリング(使用済み製品の部品を再利用する取り組み)の実現に向け、ロボットを活用した廃電気製品の自動分解システムの開発を進めている。リマニュファクチャリングの効果を最大限に引き出すには、製品設計の段階から再利用を見据えることが重要である。このため、開発で得られた知見を、将来の製品設計に反映させる取り組みも進めている。

これらの技術は相互に連携することで資源回収率が最大化される。NEDOとしては、これらの技術を含め、開発を支援した各リサイクル技術を統合し、全体をシステムとして社会に提供することで、資源循環社会の実現に貢献していく考えである。

img_nikkan_260624_Profile_IshidaHironori_2.png

NEDO
サーキュラーエコノミー部
3Rチーム 主査
石田 弘徳(いしだ ひろのり)
早稲田大学大学院理工学研究科修了(資源工学)。日本セメント(現太平洋セメント)入社、材料分野を中心に新技術の探索・開発から事業化推進に従事。2025年からNEDO出向、「高度循環型システム構築に向けた廃電気・電子機器処理プロセス基盤技術開発」プロジェクトを担当し、資源循環技術の高度化に向けた取り組みに従事。

一覧に戻る
Top