Focus NEDO

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

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【77】バイオモノづくり促進、培養検査を効率化(2026年6月3日紙面掲載分)

企業参入の障壁

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、委託事業「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」において、バイオによるモノづくりの社会実装を推進している。バイオによるモノづくりは、省エネルギーでの物質生産が可能であり、原料を非化石資源に転換できる点で炭素循環型社会の実現に資する。

一方、生産プロセスは「探索・育種・培養・生産」と多段階で構成され、上流の探索段階で、有用遺伝子や微生物宿主などの生物資源を迅速かつ効率的に見いだすことが求められる。

実際のところ、産業上有用な生物資源の取得は高コストかつ高難易度であり、企業参入の障壁となってきた。その結果、地球上の微生物は1000万種以上存在するとされるが、解析・命名された微生物は2万種弱にとどまる。99%以上が同定されておらず、その多くは未培養または難培養で活用の見通しが立っていない。

生きたまま把握

そこでこの事業では、微小な液滴(ドロップレット)を培養容器として用いて、1日当たり100万検体以上を解析できる「ドロップレットスクリーニング(ミリオンスクリーニング)」を開発している。従来技術と比較して1000倍以上の効率を有する世界最高水準のスクリーニング技術だ。ドロップレット内で増殖した微生物の機能活性を直接評価できる点に特徴があり、ゲノム情報だけでは予測が困難だった「生きた微生物の機能性」を把握できるようになった。従来は培養が困難で取得できなかった微生物の機能を確認できるようになり、有用微生物資源の選択肢が広がりつつある。

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NEDOによるミリオンスクリーニング開発体制と拠点形成・社会実装の推進

産業展開後押し

この事業に参画する長岡技術科学大学は、創出したミリオンスクリーニング技術成果を社会実装につなげるため、ECHIGO MICROBES(新潟県長岡市)を設立した。同社は食品・健康関連分野を中心に、発酵素材などを扱う企業を含む幅広い顧客に対して、微生物探索・育種に関する受託サービスの提供を開始した。同サービスは、厳格な安全性や消費者嗜好(しこう)への対応が求められる分野においても、探索・育種工程を効率化することができる。NEDOはこのような社会実装の取り組みも含め、同事業で得られた関連技術を活用し、バイオものづくりの産業展開を引き続き後押ししていく。

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NEDO
バイオ・材料部
スマートセルチーム 主査
板屋 寛(いたや ひろし)
1999年大阪大学大学院理学研究科博士前期課程修了。同年、味の素に入社し、発酵生産技術開発や新規事業開発等に従事。2025年7月からNEDOに出向し現在に至る。

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