Focus NEDO

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

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【75】ベトナムの低炭素化支援(2026年5月20日紙面掲載分)

経済成長と両立

経済成長が著しいベトナム。農林業中心の経済構造から工業・サービス業への転換が進み、今後20年余りにわたり国内総生産(GDP)は年率7%前後の伸びが見込まれている。一方、経済成長の持続とともに、環境への配慮も重視するベトナム政府は2050年までのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を宣言した。再生可能エネルギーの導入拡大やエネルギー効率向上を進める中、現地では、とりわけ産業分野における現実的な低炭素化の手段が求められている。

LNGで挑む

その選択肢として期待されるのが液化天然ガス(LNG)だ。LNGは重油や液化石油ガス(LPG)と比べて熱量当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が2~3割少ない。熱や燃焼が必要な工場では、高効率な機器の導入により環境負荷低減と省エネが見込める。ただ、LNGの導入が黎明(れいめい)期にあるベトナムでは供給インフラが十分に整っておらず、工場が燃料転換に踏み切れていない。この課題に、石油資源開発は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業」において供給と利用の両面から解決に挑む。

供給面では、パイプライン未整備で需要地が分散する現地の特性を踏まえ、LNGを充填したコンテナを鉄道とトレーラーで輸送するマルチ・モーダル輸送を導入し、地理的要因や使用状況に応じた最適な方法を検証する。利用面では、LNGの性状安定化技術や、供給途絶時のバックアップとしてLPGと空気の混合ガスを代替燃料に利用する技術の実証を行う。操業連続性の確保を検証し、工場が安心して燃料転換に踏み切れる環境づくりを目指す。さらにはLNG消費機器の初期導入費用とメンテナンスコストを抑え、工場主にエネルギーシステムの改善策を提案するエネルギー・サービス事業の展開も見据える。

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ベトナムでのLNG供給インフラの整備

年2万トン削減

現在は準備段階であるが、2027年に開始予定の実証では、10カ所前後の工場において5~20%超の省エネの実現を目指す。年間2万トン近くのCO2削減効果があると試算している。雨期と乾期が明確に分かれ、工事計画や施工条件の制約が大きいベトナムで、複数の工場における燃料・機器転換を同時に進める非常にチャレンジングな取り組みである。計画的なプラント建設の遂行に加え、安定的な供給確保と操業継続を両立するマネジメントが不可欠だ。NEDOとしては、現地における官民を挙げた協力体制の構築をはじめ、法制度の対応やわが国技術・設備運用ノウハウの現地化を通じ、ベトナムの低炭素化を後押ししていく。

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NEDO
自動車・蓄電池部
海外展開チーム 専門調査員
木村 太城(きむら たしろ)
1988年から約36年間商社に勤務、うち11年間は香港、欧州など3カ国に駐在。主に産業機械や新エネルギー分野のビジネス開拓を担当。2024年10月NEDO入構、前職の経験を生かし、脱炭素・省エネなどを中心に国際関連業務に携わる。

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