Focus NEDO

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

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【72】低高度空域の運航管理支援(2026年4月29日紙面掲載分)

近づく社会実装

大阪・関西万博でデモフライトが行われて関心を集めた空飛ぶクルマだが、3月に改訂された政府のロードマップ(工程表)で商用運航開始時期が2027~2028年と明記され、社会実装のイメージが具体化してきた。米国では電動垂直離着陸機統合パイロットプログラム(eIPP)による実証が今夏にも始まる見通しだ。中東でも2026年ごろに商用運航開始を目指す動きがある。空飛ぶクルマは「いつかの未来」から「どう実装するか」を問う段階に入った。

ところで、空には道路や信号機がない。そのため、旅客機やヘリコプター、さらに飛行ロボット(ドローン)の運航では、適切に空域や運航ルールを定めることにより安全を確保してきた。そこに、動力源・飛行形態などが従来の航空機と異なる空飛ぶクルマが加わり、さらに運航する機体数が増加し、自動自律飛行といった新技術が登場すると、安全対策と効率的な運航を両立させる難易度は高まる。

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既存航空機・ドローン・空飛ぶクルマによる安全・効率的な共存に向けた課題

協調見据え

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のReAMo(リアモ)プロジェクトは、空飛ぶクルマ、ドローン、その他の既存航空機が低高度空域で協調する将来を見据え、運航管理を単なるシステム技術ではなく、制度や標準化、運用を含めた全体を設計する技術として捉え直している。従来の運航管理に係る個別技術の高度化にとどまらず、どの主体が、どの段階で、どのように関与するのかといった運用の基本設計から構想している。その際、航空法など制度との整合も考える必要がある。

事業詳細を発信

社会実装に向けた本質的な課題を整理し、国内外の事業者を巻き込みながらエコシステムを形成していく点に、NEDOプロジェクトの特徴がある。その詳細はリアモプロジェクトのウェブサイトで発信している。その成果を国内外で生かすため、2026年3月にアムステルダムで開催された国際展示会にNEDOが出展して各国の関係者から注目されたところだ。さらに5月にはリアモプロジェクトシンポジウムを開催し、低高度空域での運航に関わる事業者、自治体、関係省庁などを対象に、成果や課題を共有するとともに、今後の社会実装に向けた議論を深めたい。

政府のロードマップで商用運航開始時期とされた2027~2028年は、社会実装の終着点ではなく、その始まりに過ぎない。成果を社会の中で持続的に使われる移動手段として定着させていくこともリアモプロジェクトの役目だと意識したい。

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NEDO
航空・宇宙部
次世代空モビリティユニット チーム長
平山 紀之(ひらやま のりゆき)
京都大学大学院工学研究科卒(数理工学)、1997年東芝入社。パソコン・テレビ・ロボット向けソフトウエアの研究開発業務に従事。2022年4月からNEDOへ出向、2024年7月から現職。「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト(ReAMoプロジェクト)」プロジェクトマネージャー。

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