Focus NEDO

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

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【68】新興と事業会社つなげる(2026年4月1日紙面掲載分)

双方に利点を

前回、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のディープテック・スタートアップ支援のうち、「支援人材」「経営人材」を支援する活動を紹介した。さて、起業が軌道に乗り、事業成長・拡大を見据えるスタートアップにおいては、資金や市場開拓力、顧客対応などの経営資源を提供する事業会社と適切に連携することが重要となる。この連携においては、スタートアップ側だけでなく、事業会社にとっての利点がないと長続きしない。スタートアップと連携する事業会社にとって、新規事業の創出や生産性向上が必要となる中、スタートアップの新たな技術・アイデアの早期導入によるオープンイノベーション(OI)の推進や、スタートアップの事業化までのスピード・課題解決力の活用は、競争戦略上のカギとなり得るはずである。

課題解決で連携

双方にとって利点のある連携ではあるが、実際には、組織文化や情報量、スピード感などの違いが要因でうまくいかないことが少なくない。そこで、NEDOの「大企業等のスタートアップ連携・調達加速化事業」では、スタートアップとの連携に関心がある事業会社が抱える課題を洗い出し、それを解決し得るスタートアップとのマッチングを伴走支援し、スタートアップの研究開発成果を事業会社が調達・購買するよう促すことで持続的な連携につなげている。

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大企業等のスタートアップ連携・調達加速化事業とスタートアップ創出型カーブアウト支援イメージとJOICの仕組み

カーブアウトも

双方の連携は、既に存在するスタートアップを事業会社につなぐ場合にとどまらない。わが国では、事業会社が巨額を投じた研究開発が社内に埋もれたままのことが多い。こうした埋もれた技術シーズに携わった事業会社の人材に起業してもらい、事業会社が「カーブアウト」によるスタートアップ創出をサポートすることも、双方連携の1形態である。

NEDOでは、2024年から「スタートアップ創出型カーブアウト」を支援するために事業会社を伴走する取り組みや、セミナーや個別相談などを開催し、カーブアウトを事業創造の選択肢の一つとして検討する事業会社の背中を押してきた。

OIを促進

スタートアップと事業会社の連携を促す二つの取り組みを紹介したが、複数の事業体が一つの開発目標に向かって協働する点で、これらはOIの具体的事例とも言える。

特に事業会社にOIの重要性を理解し具体的行動を促すため、NEDOおよびNEDOが運営事務局を務めるオープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)は、スタートアップが事業会社にプレゼンするピッチイベントやマッチングイベント、事業会社が発想を切り替え行動変容するためのセミナーやワークショップを開催している。NEDOとして、スタートアップとの連携という選択肢を事業会社に訴えていきたい。

関連ページ


分野紹介:「スタートアップ支援」分野

事業紹介:研究開発型スタートアップの起業・経営人材確保等支援事業 ※事業会社等が保有する革新的な技術を活用したカーブアウトによるディープテック・スタートアップ創出等促進事業・大企業等のスタートアップ連携・調達加速化事業

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関連動画


第16回JOICセミナー:カーブアウト概要「事業会社からの事業切出し手法『カーブアウト』のメリットと可能性を知る」

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NEDO
スタートアップ支援部
人材支援・オープンイノベーション促進チーム/キャラバンチーム チーム長
馬場 大輔(ばば だいすけ)
名古屋大学卒(工学博士)。バイオ系研究者を経て、岐阜大学産学連携部署准教授・URAとして従事。2016年NEDO出向を契機に、2018年NEDOに転籍、2019年から経済産業省大学連携推進室で施策・事業立案等に従事。2023年から現職。その他産学連携学会理事、複数大学で客員教授、各種委員を務める。

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