Focus NEDO

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

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【67】新興成長へ 支援・経営人材育成(2026年3月25日紙面掲載分)

今回から3回連続で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のディープテック・スタートアップ支援について紹介する。まずプレシード期おいて、シーズ技術の事業化において「起業家人材」は不可欠であるが、必要な人材は起業家にとどまらない。メンター (指導者)やアクセラレーター(支援プログラムや支援者)などの「支援人材」、Chief X Officer(CXO)と称される「経営人材」も必要である。そして、それらの人材が「起業家人材」と出会い、共に進む関係を築いてもらう必要がある。

数・質足りず

特に、ディープテック・スタートアップが成長するためには、シーズ技術に対する専門的な知識や事業化に向けた深い知見、スキルやノウハウを有する「支援人材」や、ビジネスモデルを構築し事業化を目指す経営視点を有する「経営人材」は極めて心強い存在となる。これらの人材による伴走を身近に享受できることは、スタートアップが生み出されるエコシステムの重要な要素であるものの、わが国では「支援人材」「経営人材」のいずれについても、数、質の不足が懸念されている。

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NEDO SSAとMPMのイメージ

養成講座を提供

そこでNEDOでは、「支援人材」「経営人材」、それぞれを育成するプログラムを用意している。「支援人材」向けの「研究開発型スタートアップ支援人材養成特別講座(SSA)」では、講義、ワークショップ、支援現場体感、地域研修、合宿などを組み合わせたプログラムを提供し、エコシステムの底上げ・活性化に寄与する広い知見、高い専門性を有する「支援人材」を養成している。2017年の開始以来、多様な属性から毎回約40人を公募しており、修了者は約400人に上る。修了者のうちSSAで得られた知識・スキル・ネットワークが業務などで「活用できている」と評価した者は8割に上る。現在、これらのアルムナイが国内外のスタートアップ支援の現場で活躍している。

多様な取り組み

「経営人材」向けの「大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業(MPM)」は、自ら起業すること、またはスタートアップの経営者として参画することを志向する「経営人材」を発掘し、大学・研究機関や大学発スタートアップとマッチングさせる。2023年度から開始され、これまでに22社の取り組みを支援した。「経営人材」と一口に言っても、求められる人材像はスタートアップによりさまざまであるし、「経営人材」とスタートアップをマッチングさせる手法も個々の実情に合わせて工夫する必要がある。今後は、成果があった育成内容やマッチング手法の事例を蓄積し、将来の事例に活用していきたい。

SSAやMPMでは、地域の人材や案件を広く受け入れている。地域振興の一助にもなれば幸いである。

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NEDO
スタートアップ支援部
人材支援・オープンイノベーション促進チーム/キャラバンチーム チーム長
馬場 大輔(ばば だいすけ)
名古屋大学卒(工学博士)。バイオ系研究者を経て、岐阜大学産学連携部署准教授・URAとして従事。2016年NEDO出向を契機に、2018年NEDOに転籍、2019年から経済産業省大学連携推進室で施策・事業立案等に従事。2023年から現職。その他産学連携学会理事、複数大学で客員教授、各種委員を務める。

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