NEDO Web Magazine

NEDOは2024年12月より、日刊工業新聞の科学技術・大学面において、「NEDO未来展望~イノベーションを社会へ~」と題し、NEDOが推進しているプロジェクト等について、その概要や特徴、目標、現時点での成果等をプロジェクト等の担当者が執筆・紹介しています(年末年始を除く毎週水曜日に掲載)。当Web Magazineではバックナンバー記事を掲載します。

img_nikkan_Page_Hedder_250806.png

【53】バイオものづくり着々と(2025年12月10日紙面掲載分)

脱炭素に貢献

地球温暖化や化石資源枯渇が深刻化する中、化石資源への依存を減らし環境負荷低減技術の開発が求められている。そこで注目されるのが、微生物を活用した「バイオものづくり」である。遺伝子組み換え技術によって改変された微生物の中には、燃料やプラスチックなどの化成品原料を生産できるものがある。これらを活用すれば、化石資源の使用削減だけでなく製造時の二酸化炭素(CO2)排出量の抑制も可能となる。さらに、植物バイオマスや産業由来CO2を炭素源に用いることで、製品使用後のCO2排出量を実質的に相殺し、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)にも貢献する。

img_nikkan_251210_Fig_BioMaking_1.png

NEDOが推進するバイオものづくり関連事業

事業化を支援

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はバイオものづくりの社会実装を目指し、複数の事業を通じて技術開発と実証を進めている。「バイオものづくり革命推進事業」と「グリーンイノベーション基金事業」では、それぞれ未利用バイオマス資源とCO2を原料として燃料や化成品などの製造技術確立と事業化支援を行っている。両事業で企業単独での設備投資判断が困難な商用規模(汎用化成品では10万リットル以上)の生産を実証することで、実用化を後押しすると期待される。

製品試作後押し

一方、NEDOの「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」では、微生物生産の基盤技術開発に加え、社会実装を促進する「バイオファウンドリ」を整備している。これは微生物開発から製品試作までを支援する拠点で、研究設備を持たない企業でもバイオものづくりへの参入が可能になる。例えばGreen Earth Instituteの「バイオファウンドリ研究所」は、国内最大規模のファウンドリー設備で、3000リットルまでのスケールアップ検討を行うことができる。さまざまなバイオ製品の試作が可能で、バイオものづくりの実用化加速が期待される。また、大阪工業大学の「バイオものづくりラボ」では、生産技術の支援に加え、教育用として国内唯一の30リットル培養槽を用意して実践的な人材育成を行っている。多くの企業技術者が学び、本分野の人材の裾野拡大に貢献している。

今後も研究開発から事業化、人材育成まで一体的に推進することにより、バイオものづくりが持続可能な未来社会の実現に貢献するよう努めていきたい。

img_nikkan_251210_Profile_YaoiKatsuro_1.png

NEDO
バイオ・材料部
バイオプロセスユニット 参事
矢追 克郎(やおい かつろう)
1999年東京農工大院修了。博士(農学)。2001年産業技術総合研究所入所。応用微生物の研究に従事。2021年9月からNEDO出向。「グリーンイノベーション基金事業/バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」プロジェクトマネージャー。

一覧に戻る
Top